バーチャルセンサ研究所
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なぜニッチビジネスを狙うのか

 

 センサ開発に限らず企業はより大きな市場を求めて日夜新しい製品の開発を行っています。ベンチャー企業は、今までになかった非常に付加価値の高い製品やサービスを世の中に送り込むことによって高い利益率をたたきだします。たとえ市場全体の大きさが限られているとしても、規模の小さい企業の場合にはそれで成り立つこともあるでしょう。しかし、企業が成功してスケールが大きくなってくると、いくら市場占有率が高くても全体の売り上げが伸び悩んでしまっては会社の成長は望めません。企業が存続していくためには、貪欲に大きな市場を飲み込んでいくしかないのです。

 さて、センサシステムの開発においては、典型的な2つのパターンが考えられます。
一つは、非常に特殊なニーズに対して一品料理的に開発を行うものです。ガス事業においても現場の様々なニーズに対して行う開発はこのようなケースの典型的な例です。このような開発では、製品価格の大きな部分を人件費が占めることになります。何ヶ月もかかって開発した製品はその価格も必然的に高くならざるを得ません。しかし、生産される台数は1台あるいは数台程度にしかならないため、トータルでのビジネス規模は小さくなります。その装置によって業務が効率化されるという意味において開発の評価が行われますので、例外を除くと外部に販売されることは少ないでしょう。
もう一つのタイプとしては、機器などに組み込まれる部品としてのセンサ開発が考えられます。これは、センサとしては単機能の部品ですので比較的廉価にならざるを得ませんが、量産されることによるスケールメリットによってトータルのビジネスとしては結構大きな金額になります。

 後者の量産センサ開発は、ビジネスのスケールが大きいため企業にとっては魅力のあるものですが、量産のための設備投資に多額の費用が発生するというリスクをとらなければなりません。一方前者のような一品モノの開発は、投資リスクは比較的小さいですが、1台や2台しか作らないということではビジネスとしてはお話にならないのです。

 世の中に存在するこれら2つのビジネスパターンはいずれも現在のような不透明な時代にはうまく機能しません。何とかリスクを小さくしてビジネスをスタートし、それをマスプロに近いところまで持っていく方法論が必要なのです。私たちは、この2つのビジネスモデルの中間にポジショニングをとろうと考えています。つまり生産台数にして100〜1000台程度の規模のシステムの開発です。このような量産スケールで高い付加価値を持った装置を開発すれば、量産に伴う設備投資は最小限に抑えながらある程度の規模のビジネスを構築することが出来るのです。

 このような量産レンジを視野に入れると、どのような考え方で開発をすればいいのかもおのずと見えてきます。新しい商品を開発するといっても、毎回ノーベル賞級の大発明をするわけにはいきませんので、既存の技術を様々なニーズに結び付けていくことが大事になります。既存の技術が一品モノの特殊な技術であればそれを一般化していくことによって生産規模を大きくすることが出来ますし、逆にすでに量産されている技術であればその技術をニーズに合わせて特殊化していくことが必要になるのです。

 既存の技術の一般化と特殊化のさじ加減を間違えないようにすることがニッチビジネスを成功に導くための要諦なのです。

 

 
図1 ニッチビジネス領域は、リスクをあまり負うことなくビジネススケールをある程度大きくすることが出来る。単品生産技術の一般化やマスプロ製品の特殊化アプローチでこの領域を目指す
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