湿度とは空気中に含まれる水蒸気の量を表すもので、相対湿度と絶対湿度の2種類があります。
・絶対湿度 dv(kg/m3)
空気1m3中に含まれる水蒸気の質量を表したものです。
・・・・・(1)
・相対湿度 Uw (%rh)
湿潤空気の水蒸気圧eと、その温度における飽和水蒸気圧ewとの比をパーセントで表したものです。つまり、相対湿度は水蒸気量そのものではなく、空気の湿り具合を示すものとなっています。 ・・・・・(2)
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一般的に私たちが「湿度」と呼ぶのは、相対湿度のことです。
空気が湿っているか乾燥しているかを表すには、飽和状態を基準にするのが便利とされています。
なお、水の飽和水蒸気圧ew(T )は複雑な次のSonntagの式によって与えられます。
・・・・(3)
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グラフ1 温度と水の飽和蒸気圧の関係 |
水が0℃で氷になるということは誰もが知っていますので、0℃以下の空気中に水分は全く存在しないと思うのも無理からぬところです。
それでは、実際の湿度測定においてはこの点はどのように扱われているのでしょうか。
日本工業規格(JIS) B7920 「湿度計−試験方法」及びZ8806 「湿度−測定方法」にその答えがありました。
「温度が0℃以下の場合、式(2)の分母は、過冷却水の飽和蒸気圧を用いる」 |
この他、水の飽和蒸気圧に対する相対湿度Uwと、氷の飽和蒸気圧に対する相対湿度を区別して定義する場合もあります。
では、実際に過冷却水と氷の飽和蒸気圧はどの程度違うのでしょうか?
過冷却水と氷の飽和蒸気圧は温度に対して以下のような関係があります。氷点下でもしっかり水蒸気は存在し得るのです!
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グラフ2 氷と過冷却水の飽和蒸気圧 |
過冷却水と氷の飽和蒸気圧の差は、わずかな違いなのですね。
しかし、正確な湿度測定では、わずかな値の違いも大きな誤差につながります。例えば温度が-20℃のとき、両者の相対湿度は1.2倍も異なることになります。よって、どちらの飽和蒸気圧を使用したか、を明記することが大切になってきます。
なお、気象関係の相対湿度の定義では、空気温度が0℃以下の場合において、氷の飽和水蒸気圧ではなく過冷却水の飽和蒸気圧を用いるそうです。
★氷点下の湿度測定の際には、センサ部に霜などがつかないように注意しましょうね!!
霜がついてしまったら、正確な湿度測定はもちろん不可能となります。