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第1回 内側から発熱するものの表面温度を測るとき

温度測定をする時、熱源からの熱の輻射がある場合は温度センサの設置に細心の注意が必要です。 センサの設置方法によっては、床暖房の表面温度などを計測した際に、測定結果に大きな違いが現れることが分かりました。これはテープの影響なのでしょうか?!
そこで、温度を測定する際に使用するテープが温度測定結果に与える影響について検証してみます。

テープを貼って測定実験をしてみました

ヒーターの上に黒い紙を貼ったものを用意しました。そのヒーターを60℃に設定し、上に下の写真1のように温度データロガーを置きました。さらに、その上にアルミテープを(写真2)、アルミテープの上にガムテープを(写真3)それぞれ貼り、各状態で1時間近く温度を測定し、温度の変化を測定しました。
使用した温度センサは、「ネットでチェック温度測定サービス」の温度データロガーです。
テープを貼った影響はどのように現れるでしょうか?!

写真1 黒い紙の上にセンサ 写真2 アルミテープ 写真3 アルミテープ+ガムテープ

 

上の1〜3までの状態で測定した温度、および熱電対の温度をまとめると、下のグラフのようになりました。

また、それぞれの状態の平均温度は次のようになりました。

  @ A B
センサを貼った状態 黒い紙の上 アルミテープ アルミテープ+ガムテープ
平均温度 (℃) 57.7 59.1 56.4
(外気温 25.0℃)

温度の低かった方から並べると、次のようになります。
B黒い紙の上にアルミテープ+ガムテープ < @黒い紙 < A黒い紙の上にアルミテープ

3つの状態の中で最も温度が低かったのは、 センサの上にアルミテープとガムテープを貼ったものでした!

上にテープを2枚も重ねて貼ったものが一番温度が低くなるわけ

物質の吸収率(α)、反射率(ρ)、透過率(τ)の間には、
α+ρ+τ=1 という関係があります。

固体表面のように放射エネルギーを透過しないもののときは、
α+ρ=1 の式が成り立ちます。

また、熱透過がない物質では、熱的平衡状態のとき、
輻射率(ε)=吸収率(α)が成り立つため、ε+ρ=1 となります。

このように、反射率と輻射率は相反の関係にあり、例えばアルミテープのような反射率の高い表面からは熱の輻射は小さく、ガムテープのようなザラザラした材質では熱の輻射が大きくなるのです。

ヒーターから表面に流れ込む熱と、表面から輻射される熱のバランスによって表面の温度は決まることから、温度センサの上に貼り付けた材質の輻射率の違いによって計測温度に差が生まれたのです。

対象物質の表面温度を正確に測定するためには、このように表面からの熱の輻射を考慮に入れた注意を払うことが必要です。

床暖房のように内側から熱を放出するものの表面温度を測定したい場合、センサ部を貼り付ける場所は、測定したいものと同程度の輻射率を持つものにすることがポイントであることが分かりました。
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