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-連載企画- 非破壊検査入門 第4回 放射線透過試験(RT) 前の回へ

 

 

設備の老朽化に対応していくことは、今や日本の最重要課題の一つと言ってもいいでしょう。設備の更新を適切かつ効果的に行うためにも、その設備の劣化状況をきちんと検査することが大切です。この企画では非破壊検査のグループ専門会社である東京理学検査さんの協力を得て、分かりやすく非破壊検査技術をご紹介することにします。

今回は溶接の欠陥検査などに広く使われている放射線透過試験について解説します。

 

X線による透過検査について

X装置の一例

普通の放射線透過試験に使われるX線は電磁波の一種で、健康診断でもおなじみのX線は、強い透過力を持っており、物体内の欠陥や内部構造を調べることができます。鋼材の検査では、一般に直接撮影という方法が使われており、検査対象を透過したX線を直接X線フィルムに感光させ、透過写真(影絵)ができるため、高い識別度を得ることができます。最近ではX線フィルムを使用しないデジタルRTもあります。

 

一般にX線が物体に当たると、その強度は指数関数的に弱くなります。

I = I0 exp(-μx)

ここで、I:透過X線の強さ、I0:入射X線の強さ、μ:吸収係数、x:試験体の厚さ 金属の中で欠陥などによる空隙ができると、その分X線が減衰しなくなるため、フィルム上でより強く感光するため黒い領域となってあらわれます。なお、金属中で、鉛の吸収係数が一番大きいので、X線の遮蔽には鉛がしばしば用いられます。

欠陥の識別能力を高める(より小さな欠陥を検出する)ためには、
 @ 照射範囲を限定するなどして、X線の散乱を小さくする。
 A 小さい焦点装置を用いる。
 B X線のエネルギーを小さくする。(減衰定数が大きくなる)
等が考えられますが、X線のエネルギーを弱くするとフィルムの露光時間を長くする必要もあり、現実的な露出時間になるようにエネルギーを調整する必要があります。

X線検査の対象と欠陥の種類

検査対象

平板突合せ溶接部やすみ肉溶接及び円周溶接部など、X線を使って様々な構造物の検査が可能です。対象の構造によって、X線源とフィルムの配置にはさまざまなバリエーションがあります。

処理前 処理後
突合せ溶接部のX線検査 すみ肉溶接部のX線検査

すみ肉溶接の検査では、X線で撮影すると肉厚の濃度差が出てしまいます。 そこで、肉厚補償くさびを使って、肉厚が均一になるようにして撮影することもありますが、一般的には浸透探傷によって検査するケースが殆どです。

 

欠陥の種類

溶接部に発生する欠陥は、大きく分けて3種類に分類されます。

ブローホール…溶接時に発生する球状の空洞。空気中のガスが溶接中に金属内に取り込まれ、表面に浮き上がる前に固まったもの。

融合不良及びスラグ巻き込み…開先面が融合しなくて内部に残った部分に酸素や窒素が金属と反応して生成してできる非金属物質が、表面に浮上せず内部に残っているもの。

割れ…溶接時に発生する材料内部の熱応力などにより発生した割れ。材料の表面及び内部に発生することがある。

 

X線を使った非破壊検査では、国家資格を有したX線作業主任者が行うことになっています。

 

非破壊検査に関してのご相談は、お気軽にこちらまでご連絡ください。

参考文献: イラストで学ぶ非破壊試験入門 平成元年

 

 

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