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-連載企画- 非破壊検査入門 第2回 浸透探傷試験 前の回へ 次の回へ

 

 

設備の老朽化に対応していくことは、今や日本の最重要課題の一つと言ってもいいでしょう。設備の更新を適切かつ効果的に行うためにも、その設備の劣化状況をきちんと検査することが大切です。この企画では非破壊検査のグループ専門会社である東京理学検査さんの協力を得て、分かりやすく非破壊検査技術をご紹介することにします。

第2回は浸透探傷試験を取り上げます。単純な試験方法ですが、それだけ適用範囲も広く、良く利用されている探傷試験方法の一つです。

 

浸透探傷試験の原理

浸透探傷試験は肉眼では検出することのできない表面の欠陥を検出するための方法です。 具体的には2つのプロセスからなります。

1. 微細な欠陥の中に液体を浸み込ませる。
2. 浸み込んだ液体を表面に吸い出して広がらせ目視できるようにする。

浸透探傷試験は、金属や非金属を問わず、殆どの材料に適用が可能ですが、木材や素焼のような多孔質の材料や、浸透液によって腐食・変色する材料には適用できません。

 

具体的な手順

@ 前処理
傷の中にごみや油脂などが入っていると、浸透液が十分に傷に入っていくことができません。あらかじめ、傷の内部や表面から不純物を取り除くことが重要です。通常は有機溶剤を吹き付けて、ペーパータオルなどで良く拭き取ります。

 

A 浸透処理
スプレー缶に入った浸透液を試験体表面に塗布します。刷毛ぬりによる場合もあります。塗布した後、液が浸透するまでの時間しばらく放置しておきます。

 

 

B 洗浄処理
表面に付着している余分な浸透液を、ウエスなどを使ってふき取ります。あまり多くの洗浄液を使って洗い流してしまうと、傷の内部までも洗い流してしまうことがあるので、注意が必要です。

 

C 現像処理
速乾式の現像では、スプレーによって細かい粉末の入った現像材を試験体に塗布します。表面にできた微細な隙間による毛管現象によって、傷の中に入った浸透液を吸い出し、肉眼で欠陥の存在がわかるようにします。

 

 

D 後処理
腐食を防止するため、現像材および残留浸透液を溶剤等を用いて十分除去します。必要に応じて防錆処理を行います。

 

 

処理前 処理後
浸透探傷を行った実際のサンプル(左:処理前、右:処理後)

この探傷試験手法、手作業による部分が多いことから、検査員の技量がものを言う検査法でもあります。東京理学さんの腕の見せ所ですね。

 

非破壊検査に関してのご相談は、お気軽にこちらまでご連絡ください。

参考文献:日本非破壊検査協会: 非破壊試験概論 1993

 

 

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