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-連載企画- 非破壊検査入門 第1回 超音波による探傷試験 次の回へ

 

 

設備の老朽化に対応していくことは、今や日本の最重要課題の一つと言ってもいいでしょう。設備の更新を適切かつ効果的に行うためにも、その設備の劣化状況をきちんと検査することが大切です。この企画では非破壊検査のグループ専門会社である東京理学検査さんの協力を得て、分かりやすく非破壊検査技術をご紹介することにします。

非破壊検査というのは、文字通り対象となる材料を破壊することなく内部の状況を検査する技術を言いますが、その中にもいろいろなものがあります。最初に取り上げるのが超音波による方法です。

 

超音波について

超音波とは人の耳に聞こえないような高い周波数の音のことです。コウモリが、暗闇の中で超音波を使って障害物をよけている話は聞いたことがあるかもしれません。人の耳に聞こえる可聴域の音波と超音波の違いは、超音波が金属のような物体の中を伝わる際には、灯台の光のように、鋭い指向性を持つ輪郭のはっきりとした音の束となって一定の方向に進むことがあげられます。さらに直進した音は、異なる材質の境界面や空気との境目で反射する性質を持っているので、この性質を利用して物体の内部にある傷を検出し、その位置や大きさを測定しているのです。


境界面における超音波の反射

 

超音波探傷法の原理

まず、試験体の表面に超音波を送信・受信できる探触子を当てて、試験体内部に超音波を伝搬させます。何らかの傷があると、試験体の内部で超音波が反射されて帰ってきます。その傷の位置は、送信されてから受信されるまでの時間によって測定し、傷の大きさは受信されたエコーの大きさや、エコーの幅から測定をします。


超音波探傷の原理

 

接触媒質

探触子を試験体に接触させて、試験体内部に超音波を伝搬させると書きましたが、探触子と試験体の間にわずかでも空気の層があると、超音波は殆ど試験体の中に入っていきません。そこで、超音波を効率よく伝達させるために、空隙を液体で満たす方法が行われています。この液体を接触媒質と呼びます。病院で脂肪肝の超音波検査をするときに、おなかに塗るゼリーのようなものも接触媒質の一種ですね。

超音波探傷の適用範囲

医療などの世界でも使われている技術であり、幅広い適用が可能ですが、設備関連の応用という意味では、次のような用途に用いられます。

(1) 鋼板や鍛鋼品の検査
素材である鋼板や、それらを機械加工した部品などの内部に存在する傷や非金属の介在物などの検査を行うことができます。

(2) 溶接部の検査
ガス配管などほとんどの金属構造物には溶接部があり、その検査の目的で使用されます。溶接では、文字通り金属を溶かして接合を行います。その際に、下記のような様々な欠陥が生じる可能性があります。


溶接部分の欠陥

これらの欠陥は、外見からでは判断できないことがほとんどですので、外部から超音波を当てて検査を行います。実際には、組み立てられた金属部材の形状や溶接の仕方も様々なため、いろいろな技術が組み合わされて検査が行われます。

超音波探傷技術の応用例

精度よく効率的に検査を行うためには、応用ごとにセンサーやロボットを開発する必要があります。これまでに様々な応用に取り組んできました。その内のいくつかをご紹介します。

(1)球形ガスホルダーの表面傷の検査
球形ガスホルダーの表面の傷を、ホルダーを開放することなく自動で検査するロボットを開発しました。


開発した自動走行ロボット

(2)熱交換器チューブの検査
都市ガス昇温用の熱交換器のチューブの検査用のシステムを開発しました。 細くて急な曲りのある配管の検査をするためのセンサーや、円周上に超音波センサーを複数配置した直管部用センサーを開発、配管全周の検査を可能にしました。



(3)設備配管の診断
配管の改修工事を効率的に行うために、超音波を使って配管の腐食状況を自動的に検査する装置です。


検査システムの外観

検査の様子

非破壊検査に関してのご相談は、お気軽にこちらまでご連絡ください。

参考文献:日本非破壊検査協会: 非破壊試験概論 1993

 

 

 

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