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最終回

 

 

 

最終回: マーケティング手法としてのアレニウスプロットの利用レシピ
 

この連載で提案したアレニウス分析によるマーケティング手法は、必ずしも現場力の問題だけに当てはまるものではなく、様々な社会問題の分析や商品のマーケティングなどにも適用できるものと考えられます。どのように問題をモデル化すれば、この分析手法が適用できるかを以下のレシピに簡単にまとめました。

ここでは商品のマーケティングへの適用例を示します。

【ステップ1】
問題となっている事柄の中で、リアルな存在(人やモノ)がある状態から別の状態に変化するプロセスを想定します。例えば商品開発では「売れない商品」が「売れる商品」変化するプロセスを考えるという具合です。

 

【ステップ2】
ステップ1で想定したプロセスをより進めるために必要な〜力を考えます。後ろに「力(ちから)」を付けると考えやすいでしょう。ここでは「商品力」としてみます。

【ステップ3】
ステップ2で設定した力(ちから)を左右するファクタを考えてみます。ここでは商品の機能が商品力に影響するとしました。

【ステップ4】
ここで今回の連載で実施したように商品機能と商品力との関係に関するデータをアンケートによって収集します。報告では最低活性度と十分活性度を記入してもらいましたが、もっと簡単に現在の商品機能が商品力を持つために十分かどうかをパーセンテージで記入してもらうだけでも良いでしょう。例えば現状の製品と比較して、どの程度の機能があれば十分な商品力を発揮できるかをアンケートで聞きてみます。現状を50%として0〜100%で答えてもらえばよいでしょう。

 

【ステップ5】
アンケート結果を加算し、商品機能対商品力のグラフを作成します。多くのデータを加算することによって、このグラフの中にその商品が超えなければならない「活性化エネルギー」を抽出することが出来るわけです。

 

【ステップ6】
具体的には、出来たグラフの縦軸の対数をとり、横軸の逆数をとって再度グラフを作成します。ここでアレニウス分析をしてみる訳です。そのグラフの中に見出される直線の数が活性化エネルギーを持つ障壁の数であり、それぞれの直線の傾きが障壁の高さを意味することになります。

 

【ステップ7】
得られた活性化エネルギーの意味について議論します。あまり絶対値に固執するのではなく、その意味や時間的な変化などに注目することが大切です。活性化エネルギーを算出することがこの手法の目的ではなく、それを通して仕事の方向性を見出すことに注意してください。

 

【ステップ8】
定期的にこの調査を行うことによって商品の市場における認知の推移などを検証することも出来るでしょう。

 

この連載で紹介した一連の手法は、完全にオリジナルな新しい提案であり一般的に受け入れられたものではありません。今後実際にこの手法を適用して、その可否について十分に検証される必要があることは論を待たないでしょう。しかし、非常に定量化しにくい人の気持ちの領域に踏み込んだ新しい分析手法として、多少なりともこれまでの手法にない知見が得られるものを確信しています。是非、この記事を読まれた皆さんのご意見・ご感想をお願いします。 (終わり)    

 

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