前回提案したモデルは、その現象が実際に起こっている証拠を提示することが非常に難しいものです。なぜなら活性度や現場力という言葉の具体的な定義、あるいは現場にいる人たちの質的な変化の測定などは、いずれも定量化が困難な対象ばかりなのです。むしろ問題にしている市場における個人個人の主観的な見方を分析することが、全体としてのその市場の動向をつかむためには有用なのかもしれません。そこで、前回のモデルを前提としたアンケートを行うことによって、現場力に絡む心理的な構造を明らかにすることを考えてみることにします。アンケートにおいては、当たり前とも言える次の2つの項目を前提条件とします。
【前提条件1】 |
職場の活性度が100%であれば、現場力も十分発揮される。 |
【前提条件2】 |
職場の活性度が0%であれば、現場力は発揮されない。 |
なんだかバカにしているような話ですが、まあウソではないということでご容赦ください。
前提条件1の状態は、その職場の個人個人のベクトルが完全に現場力発揮のために一致して動いている状況であり、完全に秩序を持った状態ということになります。これに対して2の状態では、個人は全員勝手なことを考えていて現場力は全く発揮されない混沌の中にあるといえるでしょう。実際には1、2のいずれの状態も極端なケースであり、現実はその間にあると考えるべきでしょう。
現実の状況は、図の実線のようなグラフで表されることになります。これらの仮説をもとにアンケートで質問をすることによって、このグラフのような特性を導いて見ることにします。といっても、難しい質問を並べても誰もちゃんとは答えてくれないでしょうから、質問は次のような実にシンプルなものにとどめます。
質問1: |
何人が積極的に行動すれば、あなたの職場の現場力を十分発揮することが出来ると思いますか? |
質問2: |
逆に、現場力を維持するためには最低何人の人が積極的に行動しなければならないと思いますか。 |
この質問は、現場の活性度と現場力の関係を図の点線のような簡単な折れ線グラフで近似した場合のP(質問2),Q(質問1)点を与えることになるのです。
次回は、たくさんのアンケートの結果をどのようにまとめるかを考察して見ることにします。ご期待ください。
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