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第1回

 

 

 

第1回:化学的分析手法とマーケティングの類似性
 

市場調査の意味について

新規の事業を考える時、消費者の嗜好に関する調査がきわめて重要であることは論を待ちません。アンケートやモニタなどによる調査は、消費者個人個人が持っている商品に対する印象を抽出し、その中から平均的なニーズ像を見つけ出した上で、そのニーズに対応した商品の開発が行われる訳です。高度経済成長時においては、各個人のニーズは比較的一致していましたから、このような分析手法は比較的うまく働きました。しかし、昨今のようなニーズの多様化した社会においては、そのような平均化処理は必ずしもうまく機能しないのです。つまり個人の嗜好が多様化してしまっているため、ちょっと矛盾した言い方ですが、平均値は多くの平均的な消費者像を表していないのです。さらに二極化が進んだ市場の場合、それらの平均値はまったく消費者の実態に合致しないこともあり得ることになるのです。

二極化した市場における平均値の意味?

消費者の嗜好に関するちょっと大胆な仮定

これまで提案されてきた様々なマーケティング手法が現在の市場動向をうまく記述できない理由は、消費者個人個人が商品に対する確固とした意識を持っているという大前提に問題があると考えられはしないでしょうか。つまり、現代の人々は個人個人が商品に対する絶対的な嗜好を持っているというよりも、周りに氾濫する情報によってランダムに近い運動をしているだけであるという仮定です。いわば熱的モードで人々が行動している時、分子の振動に対応する個々の人間の考えを平均することは、さほど大きな意味を持たないという主張は納得感のあるところではないでしょうか。

 

化学的分析手法とマーケティングの類似性

熱力学など分子の運動を巨視的に見る科学的な手法は、当然のことながら個々の分子の属性は議論しません。そんなものはたくさんありすぎて(アボガドロ数:1023個)調べていられないので、それらの粒子の巨視的特性、たとえば運動エネルギーの分布などによってその系を理解します。窒素のような気体分子そのものはどれでも同じだが、それらがたくさん集まって相互作用をしたときに何が起こるかを考えるという手法は、個性を持たないたくさんの個人がインターネットを通じた情報の嵐の中で熱的にふらふらしているという状況と奇妙な一致をみせているのです。このように考えると、化学などの物質のマクロな挙動を分析する数々の手法が市場のマーケティングなどにおいて有用であると考えるのは、きわめて自然な流れといえるのかもしれません。


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