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発 明 の 分 析
〜 特許へのプロセス 〜

 

 第1 発明を認識しよう

 

 はじめに

 

特許を出願する際には、当然ながら特許出願時の明細書の内容が極めて重要な意味を持ちます。しかし、技術者の発明は、その発明の持っている技術的な思想の単なる一実施例に過ぎないことも多く(要するに思い込み!)、そのまま特許として出願してしまうことは望ましくない場合が極めて多いと言われています。

このページでは、一つのアイデアが特許化可能な発明となるまでのプロセスを辿ってみることによって、技術の特許化にまつわる一連のプロセスを理解できるようになっています。

 


 

 

 開発技術の概要

省エネルギーの手段の一つとして、しばしば利用される蓄熱システムに用いることを目的とした蓄熱パネルに関する発明です。

特に食品などを保温するために蓄熱材として食用の油を用い、これをパネル状にして利用することを考えました。

発明のイメージ図

 


 

 

 分析

 

  ステップ 1 : 発明の静的分析 (事実認定)

 

 【開発者が認識している発明の目的】

 当たり前のことですが、なぜ発明がなされたのかを明示的に認識することが極めて重要です。
 この発明においては、以下の2点が発明の目的と考えられました。

 

 1. 安全性の高い蓄熱システムの提供する。
  (破損により中身が出ても安全、劣化しても処分が容易、詰め替え・取替えが容易)

 

 2. 強制空気循環することなくコンテナ内部の温度を一定に保つ。

 

 

 【発明を構成している要素】

 次にその発明を、構成している要素に分解します。さらにその構成要素の持っている機能や作用を書き出します。
 このとき、それぞれの要素が持っている機能・作用を行うことのできる代替案も考えてみます。

 この発明の場合、以下の4つの構成要素が抽出されました。


 1. 保温したい温度領域に融点を有する食用油

 

 

 機能・作用

  • 潜熱を利用して熱の放出・吸収を行う (ア)
  • 融点において温度を一定に保つ (イ)
  • 容器が破損して流出しても安全 (ウ)
  • 劣化した油の処理も容易 (エ)


 

 代替品

  パラフィン、水、塩、ブロックのようなもの

 

 

 

 

 

 2. 食用油を封入するビニール容器


 

 機能・作用

  • 食用油を外気から分離する (オ)
  • 食用油の持つ熱を表面に伝える (カ)
  • 外部の熱を蓄熱材に与える (キ)
  • 温度変化・相変化に伴う体積変化を吸収 (ク)

 


 代替品

  硬質プラスチック容器+エアギャップ、ボール状の構造+エアギャップ、直接壁に流し込む

 

 

 

 

 3.ビニール容器を仕切りのある壁に埋め込んだ構造

 

 機能・作用

  • ビニール容器を薄い形状に保持 (ケ)
  • 面積を大きくし伝熱を促進する (コ)
  • 外への熱の流出を防止する(サ)
  • 仕切りにより被害を部分的に押さえる(シ)

 

 

 4. 外から蒸気を吹き付け蓄熱材を溶かす構造

 

  機能・作用

  • 蓄熱材に熱を与えることにより溶かす (ス)

 


 【この発明によりもたらされる効果】


以上のような構成要素からなる蓄熱システムによって、「使用する前に高温蒸気により蓄熱材を溶かし、融点温度にて均一な温度で保温する」という効果が得られると考えられました。

 

 

 

次回はステップ1で行った静的分析をもとに、機能や作用を組み合わせて同等、
あるいは新しい機能・作用をもたらす構成を考えてみます。

 

 

本発明は、東京ガス株式会社および株式会社東洋製作所、日清製油株式会社の3社の共同出願です。
本コンテンツの掲載を許可してくださった2社に感謝いたします。

本コンテンツの特許の分析に関しては、秀和特許事務所 遠山弁理士のHPを参考にしています。

 

 

 

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