いくら省エネといっても真夏の暑さの中で空調なしで過ごすことなど考えられませんね。普通空調と言えば電気と思われるかもしれませんが、ガスを使った空調も広く使われています。この企画では、ガスを使った空調にかかわる技術的な内容をわかりやすく解説していきます。もし、内容で良くわからないことがあれば是非ご意見をお寄せ下さい。可能な限りお答えしていきます。
空調の定義
記念すべき第一回のテーマは「空調とは」です。
「空調」という言葉を知らない人はいないでしょう。でも「空調」の正式な言い方は知っていますか?
「空調」とは・・・「空気調和」の略称です。
では、「空調」とは空気の何をどのように調和するのでしょうか?
それは・・・室内の温度、相対湿度、気流、清浄度(浮遊粉塵、一酸化炭素、二酸化炭素、ホルムアルデヒド)を調和することが「空調」なのです。
多くの建物はビル管理法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)という法律によって、室内の環境測定が義務付けられています。
ビル管理法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律) とは、
- 建築基準法にいう建築物である。
- 特定用途(興行場、百貨店、集会場、図書館、博物館、美術館、遊技場、店舗、事務所、学校、旅館等)である 。
- 延べ床面積が3000m2以上(※学校の場合は8000 m2以上)である。
|
空気環境測定の様子 |
1〜3の全ての条件に該当する場合はビル管理法の対象となり、空気環境測定が必要となるんです。具体的には2ヶ月以内ごとに1回、定期的に測定することが定められています。そういえばオフィスビルで、なにやら機械を持って測定している人を見ることが時々ありますよね。
建物の中の空気環境が下記の基準を満たすようにすることが法律上、定められています。
測定項目と基準値
項目 |
基準値 |
(1) |
浮遊粉じん |
0.15mg/m3以下 |
(2) |
一酸化炭素 |
10ppm以下 |
(3) |
二酸化炭素 |
1000ppm以下 |
(4) |
温度 |
17℃以上28℃以下 |
(5) |
相対湿度 |
40%以上70%以下 |
(6) |
気流 |
0.5m/s以下 |
(7) |
ホルムアルデヒド |
0.1mg/m3以下 |
|
※(7)については、新築・大規模修繕・大規模模様替を
行った時の
最初の6月〜9月の間 |
空調を行う設備
「なぜ空調をする」かがわかったところで次は「どのようにして空調をするか」に移りましょう。
空調をするための設備を空調機(Air Handling Unit)といいます。空調設備業界では、よく略して「エアハン」ということもあります。
下図はセントラル(集中式)空調における空調機の構成図です。前出の空気環境基準を満たすために、粉塵を除去するフィルタ、温度と湿度を調整するための冷却コイル・加熱コイル、加湿器と、調整された空気(SA:Supply Air)を室内に送るためのファン(FAN)からなっています。室内から戻ってきた空気(RA:Return Air)は一部排気(EA:Exhaust Air)され、残りの空気は、外部の新鮮空気(OA:Outdoor Air)と混合されて、再び空調機に送られます。
なお、熱源機から空調機に供給される冷水や温水(あるいは蒸気)はそれぞれ冷却コイルと加熱コイルと呼ばれる熱交換器を通して空気に伝達されます。
今後、回を追ってもっと細かい技術的な内容について調べていくことにします。まずは、大枠で空調ってなんだというところをつかんでおいてください。
|