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塗膜の剥離プロセス

 

 

鋼(即ち鉄)構造物は社会の隅々まで浸透して使われています。私達人類の文明の象徴的存在と言っても過言ではないでしょう。しかし鋼構造物は、材料がむき出しのままではすぐに錆びてしまいます。そこで一般的には鋼の表面に塗装を施すことによって腐食を防ぎ、高い耐久性を持たせているのです。

 

塗料の剥離について

塗料は長い期間に渡って水分やその他の化学物質から鉄を守ります。しかし、それもいつまでもと言う訳にはいきません。鋼構造物を長く維持管理していくためには、適切に塗料を剥離し、新しい塗膜で表面をコーティングしていく事が大事なのです。

 

素地調整作業のレベル

塗装を行う際には、古い塗料を取り去ることはもちろん、塗料と鋼構造物とが密着するようにする凸凹(アンカーパターン)を表面につける事が大切になります。これらをあわせて素地調整と呼び、この工程の良し悪しが塗装の耐久性に大きく影響を与えます。素地調整の程度に関連してケレンという概念が使われており、調整を行う前の塗装面の程度により、1種から4種まであります。

 

素地調整程度と作業内容
種類 旧塗膜の劣化程度 作業内容 作業方法
1種ケレン
さび、旧塗膜を完全に除去し、鋼材面を露出させる。 ブラスト法
2種ケレン 旧塗膜のさび面積が30%以上ある。 さび、旧塗膜は除去し、鋼材面を露出させる。 動力工具(サンダなど)と手工具を併用
3種ケレン 旧塗膜の錆び面積が15〜30%、塗膜異常が30%以上で認められる。 活膜は残すが、それ以外の不良部(錆び、われ、膨れ)は除去する。 同 上
旧塗膜の錆び面積が5〜15%、塗膜異常が15〜30%以上で認められる。 同 上 同 上
旧塗膜の錆び面積が5%以下で、塗膜異常が5〜15%で認められる。 同 上 同 上
4種ケレン 塗膜異常が5%以下。 粉化物および汚れを落とす程度 同 上

参考:鋼道路橋塗装・防食便覧

 

ここで言うブラスト工法というのは、投射材と呼ばれる粒を猛烈な勢いで塗装表面にぶつけて剥離を行う方式の総称です。この方法によると、他の方法に比べて非常に高い塗膜の耐久性が得られます。鋼道路橋塗装・防食便覧でもブラスト法による素地調整が推奨されています。

 

投射材のいろいろ

ブラスト工法で用いられる投射材。新東サーブラスト工業では実に1300種類の投射材メニューがある。

表面処理をするために高速で粒子をぶつける方法がブラスト工法ですが、その対象によって実に様々な投射材が用いられています。最もクラシックな投射材はケイ砂を使ったサンドブラストですが、最近は環境への配慮から使われなくなりつつあります。

 

 

 

 

HOTニュース:ブラスト処理用の非金属系研削材を定めた日本工業規格(JIS Z 0312)では、2007年4月1日よりけい砂がリストから除外されました。これは、国際規格のISOにおいて塵肺の危険性が高いとしてけい砂が規格の対象外とされていたことに準拠したものです。

一方、やわらかい表面をブラストする時には、それに見合った硬さの投射材を使う必要があります。樹脂の表面を処理する時は投射材も樹脂の粒子を使うこともありますし、変ったところではドライアイスを投射材としてつかうこともあるそうです。新東サーブラストさんでは、実に220種類1300サイズの投射材を使ったブラスト工法が可能というから驚きです。自動車用の鋳造における表面処理で培った実績とノウハウが、現在の多彩なメニューにつながっているのだそうです。

新東サーブラスト工業のショールームにおいてある鋳造製品で作った恐竜。背中に見えるのはゴルフのクラブですね。   小型のブラスト機器を操作する作業員。
習熟するには多くの時間を必要とする。

 

ブラスト工法の実際

小型の装置を使ったブラスト工法を見学させてもらいました。小型といっても相当大きな機械でウインチがないと持ち上げることもできません。この機械では鉄の粒を空気で加速して壁に衝突させ、投射材と剥離した塗膜を同時に吸い取ってしまいます。従って周りに飛沫が飛ぶことは殆どありません。もちろん安全のため作業員はゴーグルを身につけて作業にあたります。下左の図は、装置の底から内部を見たところです。プロペラのような構造が回転して投射材を勢い良く打ち出します。下右図はホッパ内の投射材の様子です。

ブラスト機器の底面の様子。プロペラが回って投射材を加速噴出する。  
ホッパ内の投射材。

 

下図は剥離した壁面のクローズアップです。赤っぽく見えるのは下塗りの塗料です。きれいに塗量が除去されている事がわかるでしょう。

ブラスト処理した表面の様子

 

デモンストレーションした機材の他にも小さいものから大きいものまで実に様々な機器が所狭しと並んでいます。ブラスト工法は、工場設備などの塗装剥離以外にも駅の床のスリップ防止など新たなニーズがどんどん生まれてきています。あまり一般の眼に触れることのない技術ですが、これからのこの技術の展開は眼が離せません。

 
様々な機器がならぶ新東サーブラスト工業さんの倉庫。なかなか壮観でした。

 

 

 

 

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