
センサにおけるヒステリシス
センサというのは、外部からの何らかの刺激によって別の(普通は電気的)刺激を出力するものです。出力には連続的なアナログの出力をするもの(トランスジューサ)とON/OFFのようなデジタル信号を出力するもの(スイッチ)がありますが、パルスパームセンサは、後者に分類されるもので、アナログ的な磁場の強さを一ビットのデジタルに変換するセンサです。

磁気センサのヒステリシス
安定性と応答性のトレードオフ
センサにおける「柔軟な運用」というのはヒステリシスと呼ばれるメカニズムを組み込んで実現されます。アナログ入力の0がしきい値、つまり入力の符号によって出力が変わるようなセンサにおいて、現時点の出力がマイナスであるときは入力がゼロになっても出力を反転せず、例えば0.5を超えたときに始めてセンサ出力が反転するようにします。
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ガス会社の開発者だってセンサへの思いは負けません。
東京ガス計測技術センターの林さん |
逆も同じで、現時点の出力がプラスであるときは、入力がゼロまで下がっても出力を反転せず、-0.5を下回ったときに初めて出力を反転するのです。このような仕組みを持ったセンサは、例えば入力信号に多くのノイズが含まれている場合に威力を発揮します。ヒステリシスの幅より小さい変化は、基本的には無視されます。見方を変えると現在のセンサ出力が過去の状況に引きずられるることになりますから、安定性は高いものの応答性は悪くなるともいえるかもしれません。ヒステリシス型のセンサでは、この安定性と応答性のトレードオフが設計の上では重要になるのです。
大バルクハウゼン効果を使った磁気センサ
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パルスパームセンサの拡大写真。電線にコイルを巻きつけただけの簡単な構造。 |
パルスパームセンサは、大バルクハウゼン効果という物理現象を利用しています。これは、磁性体が磁化する時に、内部の磁壁(1)が一度に移動してしまう現象です。この現象は外部からの磁場がある一定の値を超えたときに極めて短時間に磁化方向が反転しますが、複合磁気ワイヤなどの限られた材料でしか見られません。これは通常の磁性体では、磁壁の移動が不連続なので磁化が徐々に進行(2)するためです。どちらの向きに磁壁の移動を起こすためにもある磁場の大きさ必要なわけですから、それがヒステリシス特性となることになります。
複合磁気ワイヤって何?
特殊な加工を施した半硬質磁性材料(3)を、冷間加工によって線引きし、直径を0.25mmとし、線材の軸を中心にひねりを加え、中心部分と外郭部分とで異なる磁気特性(4)を持たせるようにしたものです。ちょっと聞くと簡単そうにも思えますが、実用に耐える製品にするためには様々なノウハウがあります。
パルスパームセンサ
複合磁気ワイヤは、大バルクハウゼン効果によって外部磁界に起因した急激な磁化の状態変化が起こります。この変化は時間的に短い時間で発生するので、コイルを傍においておけば、電磁誘導(5)による起電力が現れます。

ガスメータ用にカスタマイズされ、
電装基板に実装されたセンサ。
実装技術は、目だないけど大切な技術です。
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この信号をセンサ出力として取り出したのがパルスパームセンサです。普通のコイルによる磁界変化検知では、検知出力が磁界の単位時間当たりの変化に比例するため、たとえば非常にゆっくりとした磁界変化の検出は困難でしたが、パルスパームセンサでは外部磁界の変化速度に関係なく磁区の移動が一気に起こるためコイルに大きな起電力を発せさせることができるのです。
他の技術との比較
磁気に反応するセンサにも様々なものがありますが、主なものとしてはリードスイッチとMRセンサ(6)が挙げられます。リードスイッチは機構が簡単で実績もありますが、チャタリング(7)と呼ばれる誤信号の発生や接点の劣化は避けられません。また、MRセンサは感度が高い一方で消費電流が大きい、価格が高いなどの問題点がありました。これに対してパルスパームセンサでは、無電源で動作する上に価格も安く、ヒステリシス効果により雑音の多い環境での使用できるなど様々なメリットがあるのです。 さらに詳しいことはこちらまでお問い合わせください。

