このバーナを東京ガスと共同で開発した、工業用のバーナの専門メーカーのタカミツ工業さんに、この製品について伺いました。
TGE:ちょっと答えにくい質問かもしれませんが、そもそも燃焼ってなんなんですかね?
タカミツ:都市ガスやバイオガスは、文字通りガスですのでそのままの形でエネルギーを利用することはできません。ではどうするかというと、燃焼というプロセスを経て熱という形にエネルギーを変換するわけですね。そのためのメカニズムがバーナということになります。
TGE:なるほど。ではバーナを設計するというのはどういうことなんですか?
タカミツ:バーナの機能は、一言で言えば空気とガスを混合するということです。その割合によってちゃんと燃えたり、燃えなかったりするわけですね。
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装置について説明をしてくださった タカミツ工業の合原さん。 |
TGE:それだけのことですか?
タカミツ:まあ、そう言ってしまえばそれだけのことですが、ただ混ぜると言ってもガスを混ぜるスピードや流れの形など様々な要素があるんです。また、バーナの用途もいろいろありますから、ニーズにマッチした設計する必要もあります。一点集中でガラスの細工をするバーナもあれば、広い面積を加熱するためのバーナもあります。高温が必要な場合もあれば、輻射熱を利用する場合もあり、バーナの設計とっても千差万別です。
TGE:なるほど奥が深そうですね。
タカミツ:そうなんです。深いんですよ。ちょっと例が悪いかもしれませんが、天然ガスの製造プロセスで扱うのはざっくり言えばメタンガスだけですよね。ある意味純粋なプロセスなんです。不純物を取り除いてちゃんと処理すればいい。言わば「割り切れる世界」なんです。ところが、燃焼というのはガスが混ざるという本質的に不均一なプロセスなんです。いつも揺らいでいて、割り切れない。数字には表せない部分というのが必ずある。
TGE:そういわれると難しそうですね。
タカミツ:結局、数字に表せないから試行錯誤を繰り返してうまくいくまで詰めるしかないんです。正直大変ですよ。困難に直面するたびに失敗を積み上げ知恵で乗り切る。まあ、そこが当社のノウハウになっていくんですが。
TGE:なるほど、今回の低濃度メタン燃焼システムもそういう試行錯誤の中で生まれたんですね。
タカミツ:もちろんです。東京ガスのご担当者といろいろな形式を議論し、空気予熱部の旋回やフィンの設計など、何度もやり直して最適化しました。
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