お兄さんのことを英語でエルダーブラザー(Elder brother)と言うことは、たぶん多くの方がご存じでしょう。でもここで言うエルダーというのは、それとは違います。英語のLeak Detection and Repairの頭文字をとってLDARというのです。エル・ディー・エー・アールと発音しても良いのでしょうが、一般にはエルダーと呼ばれているようです。ここでは、米国で先行している漏洩検知に関する最新の動きについて紹介します。
当社ではレーザーメタン検知器というガス漏れ検知用の機器を販売しています。当社だけでなく多くのメーカーが同様の検知機器を販売していることはご存じの通りです。これらの機器の究極の目的は「ガスの漏洩を検知し漏洩個所の特定をする」ことにあります。もし、プラントの検査を受託して検査をするのであれば、委託業務遂行におけるこの目的は正しいといえるかもしれません。でも、最終的には漏れ箇所の修理を適切に行って、修理後も漏洩がないかをきちんと確認することが究極の目的であることに異存はないでしょう。 地球温暖化の進行を少しでも抑制するために、米国政府(EPA:米国環境保護庁)が企業に対して単に漏洩検知にとどまることなく、その後の修理のプロセスも含めて管理することを求めているのがLDARプログラムなのです。
● 漏洩の発見及び修理によって現場機器からのガス放出を削減する。 ● 保守すべき機器からの漏洩を定期的にモニターする。 ● 漏洩が見つかった場合、決められた期間内に修理または交換する。 ● このプログラムは政府の監督下で行われる場合もあれば自主的なプログラムもある。
EPAは、LDARプログラムを実行すれば石油精製所では設備からのVOC※の漏れを63%削減でき、化学施設からは56%削減できると言っています。同時に、企業は製品ロスを減らすことができ、作業員やオペレーターの安全性を高められ、周辺地域社会への影響も低減でき、排出料金の削減などにも役立つと言っています。
※VOC:Volatile Organic Compoundsの略称。揮発性有機化合物を総称してVOCと呼ぶ。
LDARプログラムでは、プロセス機器から漏洩するVOCを検知するMethod 21と呼ばれる方法が詳細に記載されていいます。例えば、
広範囲におよぶ施設の場合には、赤外カメラを使って漏洩の有り無しをモニターする光学式ガス検知画像化技術が使われることが認められています。
「漏洩検知器の目的はガス漏れを見つけることである。」というステートメントを私たちは当たり前のことのように思ってきました。でも、ちゃんと修理をしなければガスの放出は止まらないという当たり前のことを、それは別の次元の話と切り捨てていた感があります。 地球温暖化に対する対応が待ったなしの今日、漏洩と修理をシームレスに管理するLDARプログラムは今後日本においても大いに注目されてくるに違いありません。漏洩検知機を販売している当社も、その動きを今後も注視していきたいと思います。
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