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超指向性音響システム「ここだけ」

 

 

三菱電機エンジニアリングさんが開発・販売されているちょっと変った音響システムの紹介です。 

 

人間の知覚に関する仮定

私達の感覚のうち、最も情報量の多いのは視力でしょう。光のもつ大量の情報を眼から脳へ取り込んで外界のイメージを作り上げています。そうした情報処理において人間の脳は、いくつかの前提に基づいています。つまり光はまっすぐ進むとか、光は互いに干渉しないとか、光はものすごい速さで伝わるとかそういったことです。

例えば、今眼に映っている映像が頭の後ろから来た光によって作られているとは思いませんね。正面からまっすぐ飛んできたと考えるのが普通でしょう。網膜に人の顔が映ったら、その人は目の前にいると考えるのです。後ろではありません。

このように考えると、人間の知覚はいくつかの仮定の上に成り立っているイメージ(幻影)と言えなくもないかもしれません。

聴覚と視覚の相違

当たり前のことですが、音を聞く時の人間の仮定は光の場合とは違います。例えば何か音が聞こえたからといって、それが前から聞こえるのか後ろから聞こえるのかは必ずしもハッキリしません。また、いろんな音が混ざって聞こえてくると、それを分別して聞き分けるのは容易なことではないのです。では、もし音が今までとは違った方法で耳に届いたらどうなるのでしょう。

理論としての特殊な音の伝播の仕方は理解できても、脳はそう簡単にはそれを理解できません。特殊な音の伝播によって音が耳に届いたとは感じずに、通常の音の伝播によって頭の中に今までとは違った音のイメージ(幻影)が出来ることになります。そこに、ここで紹介する技術、三菱電機エンジニアリングさんの超指向性音響システム「ここだけ」の価値があるのです。

音のある場所とない場所のコントラスト

普通は音というのは音源のそばならどこにいても聞こえてきます。同心円的に音は広がっていきます。音源からの距離が同じなら聞こえる音の大きさや位相はどこでも同じです。ところが「ここだけ」を使うと、音源に対してごく限られた方向にしか音が伝播していきません。音の強度に関する強い空間的なコントラストが生まれるのです。このようなことは普通の音源では起りえません。普通、音は徐々にしか変化しないものなのです。強いコントラストの存在は、聞く人に強い印象を与えます。要するにびっくりする訳です。それだけでなく複数の音源を使ったり、壁の反射を使ったりなど多彩な活用方法によって、様々な効果が期待されます。

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「ここだけ」の原理

普通の音というのは20KHz以下の周波数成分を含んでいます。このような周波数の音は、四方八方に広がって行きます。これに対して超音波と呼ばれる人間の耳には聞こえない非常に高い音になると、その直進性の特徴が高まります。この超音波に会話などの普通の低い周波数の音をうまくミックスすることによって高い指向性を持った音源が作成可能になるのです。

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シミュレーションによる理解……バーチャルリアリティ

航空機の訓練などでは高度に洗練されたシミュレータと呼ばれる機械で擬似的な操縦訓練が行なわれています。もちろん、最終的には実地による経験に勝るものはないにせよコスト的な問題を考えると、今後バーチャルリアリティによる疑似体験による装置の習熟などにおいて益々活用されていくことでしょう。バーチャルリアリティとは、冒頭に述べたように人間の脳の中に組み込まれている知覚の解釈に関する仮定を逆手にとって、いかにも現場にいるような幻影を作り出すものです。映像によるバーチャルリアリティはすでにゲームなどでも一般化してきていますが、今後超指向性音響システム「ここだけ」のようなシステムを用いた聴覚レベルでのバーチャルリアリティの実現が期待されるのではないでしょうか。

 

 

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