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マルチターン飛行時間型質量分析計:infiTOF

 

 

質量分析計って何?

専門家の間では質量を意味する“マス“と呼ばれることが多いかもしれません。質量分析というのは、計測したい物質の成分(分子)やその割合(濃度)を分析する汎用の装置です。ガス業界では、都市ガスの成分分析のために工場などで広く使われています。原理は簡単にいうとこんな感じです。

  1. 分析したい物質に高電圧をかけて電気を帯びさせて真空中に打ち出す。
  2. 周囲の電圧によって粒子を加速、重さなどによって粒子速度が変わる。
  3. 速度の違いを粒子が検出器に届く時間により計測し、物質の種類を調べる。

もっと詳しい解説はこちらを御覧ください。

 

質量分析の現状

通常は研究室などに設置されることの多い計測器ですが、小型で携帯可能な小型の分析計の開発が様々な研究機関や企業などで行なわれています。小型質量分析計の用途としては、医療現場における代謝分析、土壌汚染や温暖化ガス等のオンサイト分析、ロケット搭載による惑星探査、火山ガスや海洋中の種々のガス分析、事件や事故現場の有害物質、爆発物や生物兵器などの検知、空港などでの麻薬・爆発物検知といった、実用面でのニーズが高まっています。 質量分析計の最大の利点は、さまざまな化学物質を同時に検知・同定ができ、また濃度分析も可能なことです。多種多様な物質がターゲットとなるような現場で、小型の質量分析計は期待されています。

サイズ と 性能のトレードオフ

小型の質量分析計には、磁場型、イオントラップ型、四重極型、飛行時間型などがあります。いずれの方式においても装置の大きさと分解能には相関があり、小型の装置で高分解能を得ることは難しく、これまでの小型機は、似通った特性の物質を分解して計る能力を示す質量分解能1000 程度を得るのが限界でした。 特に近年高性能化が進んだ飛行時間型質量分析計(TOF)は、高分解能を得るためにイオンの飛行距離を長くしなければならず、小型化は困難とされてきました。

新技術:マルチターン方式

MSI TOKYOが開発した「infiTOF質量分析計」は、同一飛行空間を複数回周回させることで、長い飛行距離を得て、小型でありながら高い質量分解能を達成することができる飛行時間型質量分析計です。このマルチターン部は、20cm×20cmの中に凝縮されており、手のひらにも乗る大きさです。この装置では、サンプルを何度も経路を周回させることによっていくらでも高い性能を出すことができます。装置名”infiTOF”は、いくらでも(infinite)粒子を飛行させる時間(TOF: Time Of Flight)を長くできることから命名されました。

この「マルチターン」を製品に搭載したことにより、飛行時間型質量分析計「infiTOF」では、真空ポンプ等を含めてH45.6p×W23.4p×D64.0pのサイズに収めることに成功しました。この本体に電源とパソコンUSBケーブルを接続するだけで使用が可能です。
(写真左側ブラックの筐体が「infiTOF」です。)

 

分析例:有害物質(PCB)の分析

これはPCBの測定例です。PCBは1968年に問題になった物質ですが、電気的特性が良いことから、トランス等に絶縁用として多くの製品に使用されました。現在使用は禁止されているものの、現存する保管品の処理は、「PCB特別措置法」で厳しく定められています。

分析例:温室効果ガス分析

 

これは温室効果ガスとして知られるCO(二酸化炭素)、ならびにCOよりも数百倍温暖化効果が高いとされるNO(亜酸化窒素)を分離した結果です。この2つの物質を完全に分離するためには、10000程度の分解能が必要であり、このような用途ではマルチターン方式が威力を発揮します。上の図では周回数を多くすることによって二つのガスをきれいに分離できていることがわかるでしょう。

 

これまでマススペクトロメトリーといえば、白衣を着た研究者が使う特殊な機械という印象がありましたが、マルチターンテクノロジーによる装置の小型化によって、この計測器の用途が思わぬ方向に展開するかもしれません。マルチターン素子の大きさは、今のところ20cm×20cmの大きさですが、これがさらに小さくなって文字通り”ハンディサイズ“になったらどんなことができるでしょうか。そんなことを考えてみるのも面白そうです。設立したばかりのベンチャー企業MSI TOKYOさんの今後の展開に注目です。

 

本製品についてのご質問等がありましたら、お気軽にinfo@netdecheck.comまでお問い合わせください。

 

 

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