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管路内作業安全性向上のための切り札

HAST送風機

 

 

従来技術

管路内の作業に際しては、有毒なガスの発生あるいは酸素濃度の低下による事故を防ぐ目的で、ファン式の換気装置(写真1)を用いた換気が一般に行われています。

写真1 従来のファン式換気装置

この換気装置を用いた場合、ダクトが人孔内を塞ぐ形で装置が設置されるため、作業者の自由な出入りができなかったり、緊急時の避難や機材の搬出入のたびにタクトを取り外したりする必要がありました。

無翼扇式HAST送風機

前記の問題に対して、東京都下水道サービス(株)、イービストレード(株)と共同で無翼扇型送風機(HAST:Hole Air STreamer)を開発しました。写真2は、マンホールに本装置を取り付けた様子を示したものです。コンプレッサーからの圧縮空気を、リング状の空気管を通して4個のノズルから人孔に噴出させ、周辺の外気を随伴しながら大量の空気を人孔及び管路内に吹き込みます。図1に従来技術との比較を示します。

写真2 無翼扇型送風機 図1 ファン式換気装置と無翼扇方送風機の比較

 

図2 ノズルの送風機構
図3 送風発生の原理

無翼扇型送風機の原理

本装置で使用するノズルは、図2に示すような上下に開口部を持つ中空構造となっており、ノズル内側部に、圧縮空気を空隙に向けて高圧・高速で送り込むことができる噴出口を備えています。

この噴出口から圧縮空気を噴出させると、ノズル中空部内で大きな負圧が発生し、ノズル上部の開口部から大量の空気が内部に引き込まれます(一次導風)。ノズル内部に引き込まれた空気は、高速の送風空気としてマンホール内に送り出される機構となっています。さらにマンホールの外周部に沿って設置された4つのノズルからの送風空気が、新たに人孔上部の空気を引き込む導風作用(二次導風)を発生させ、ノズルから送風される空気量よりも多くの空気を、マンホール内に送風することが可能となるのです。

この二段階の導風効果により、従来のファン式換気装置のダクトが不要となり、本装置が作動中であってもマンホール中央部に空間を通して作業者の出入りが自由に行えるという特長を持っています。

 

現場での運用結果

開発した装置を実際の下水道の現場でと使用してみました。テストを行った現場は、管路断面が2.0m×1.8m、調査区間は86mでした。

写真3 作業員の出入りの様子   写真4 現場設置の様子
 
図4 管路内の風量分布(単位:m3/分)
 ※( )内数値は、本装置を設置した上流側人孔直下
  地点の風量(330m3/分)に対する減少率を示す。

管路内の風量の測定結果を図4に示します。送風地点から離れるに従い、送風量の減少が見られ、中間地点に相当する45m地点では約50%の減少、下流端に近い80m地点では60%の減少となりました。ただし、送風空気の総量としては、それぞれ、170m3/分、130m3/分と十分な風量を確保していました。

連続送風中での作業従事者の昇降確保について、現場で確認を行った結果、支障なく人孔内の昇降ができました。ノズルから高速の空気が排出されているものの、人孔開口部から均一的に10m/s前後の送風空気が流れていることにより、強い風圧を感じることなく人孔内を移動できことが確認されました。

おわりに

管路内での作業安全性を確保するための送風装置に関して、従来とは全く異なる無翼扇型送風機を開発しました。本装置によれば、送風中であっても万一の災害が発生した場合、迅速に作業員の避難が可能になります。本装置によりファン式送風機と比較して同等以上の風速・風量を確保でき、さらに、コンプレッサーから投入する風量の約100倍の空気を人孔内に送風できることが確認しました。

お問合せはこちらまでお気軽にどうぞ。

本装置は国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)登録技術です。

 

 

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