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潟Tンコーは、東京から上越新幹線と特急を乗り継いで2時間ほどの上越市の直江津にあります。おもに東京ガス向けの都市ガス用のガス栓などを作っているメーカーさんです。どちらかというと地味なイメージのガス栓製造工程ですが、実際には実に様々なテクノロジーが使われています。ここでは人々の安全を守る製品の製造現場をレポートします。
得意な材料は黄銅
真鍮とも呼ばれるこの金属は銅と亜鉛の合金で、そのほかにも他の金属が多少入っています。黄銅は、強度では鉄に及びませんが、とても切削がしやすく、削った後のクズ(切粉)が粉状になることから容易に回収して再利用することが可能です。耐久性も高いこの材料は比較的小型のガス栓などに多く使われています。
万が一を考えたデザインガス栓は、お客様にガスを提供する時の最終ポイントです。もし、誤動作をしたら大変な事故を招かないとも限りません。小さな何の変哲もないようなガス栓には、万一を考えた様々な工夫がされています。 1.金属でガスを遮断
通常ガスの遮断は、ゴムなどのやわらかい材料と金属を接触させます。これはゴムが柔らかいので、金属の寸法が多少ラフでもキチンとガスを遮断することができるからです。しかし、都市ガス用のガス栓では、万一火災が起きた時にもガスをしっかり遮断し続けるように金属と金属の接触でガスを止める仕組みになっているのです。(ゴムなどの材料は高温に耐えられません。)金属と金属の接触のことをメタルタッチと言いますが、両方とも固い材料であるため、キチンとガスを遮断するためにはとても高い寸法精度が必要になります。
2.10000分の一ミリの工作精度
部品の寸法は1ミクロン(1000分の一ミリ)の精度で決められていますが、その寸法をきちんと出すためには10000分の一ミリのオーダーで管理することが必要なのだそうです。そんな高精度を維持することのできる工作機械は、一見すると何の変哲もない普通の装置なのですが、実際には潤滑油や空気の温度まで厳しく制御され、毎日厳しく性能をチェックされているのだそうです。 3.パッキンにも特殊な工夫全ての接触部を金属同士にすることはできませんので場所によってはパッキンと呼ばれるゴム状の部品が使われることもあります。この部品の中には火災の高温にさらされると自らの体積を膨張させてガスの流出を防止するようになっている材料が使われているのだそうです。こんな工夫までしてあると、決してガスを漏らさないようにという執念さえ感じられます。 その他にもバネを二重にして万一の時にも確実にガスが遮断できるようになっていたりと安全のためのたくさんの仕組みが小さな部品の中に埋め込まれています。こうした技術は最初からあったわけではなく、長年の地道な技術開発によってもたらされたことは言うまでもないことでしょう。 創意工夫でイノベーション
工場の中にはたくさんのロボットがあり、手際よく部品を製造していきます。これらの設備のほとんどは自社で開発したものだそうで、一台一台にユーモラスな名前までついています。よく見ると家庭用の食器洗浄機で部品を洗ったり、掃除機を使って切粉を吸いとったりと掟破り(?)の工夫があちこちにあります。既存の概念にとらわれず絶えずより良い製品を作ろうとするサンコーさんの思いが伝わってくるようです。
最終検査は人の手で
自動化の進んだサンコーさんの製造ラインですが、最後はそれでも人間が一個ずつ製品を検査 して安全を確かめます。箸を使って内部にすべての部品がきちんと入っているかを確認しますが、人によって千枚通しを使う人もいるのだそうです。微妙な手の感覚で部品の検査を手際よく進めていく仕事ぶりはまさに職人の世界です。
最後に
工場内を案内してくださった長谷川工場長は、すべての装置について実に詳しくご存じで、工場長自らが先頭に立って生産性の向上に努めておられるのがとてもよく分かりました。お客様の安全に直結する機器の製造という重い責任を果たすために、地道に絶えず工夫を重ねて来られたサンコーさんの技術力は侮れないものがあります。こうした技術をほかの分野にも応用できないかと帰りの電車の中で考えました。 今回の見学では潟Tンコーの長谷川工場長、細井副工場長他の皆様に大変お世話になりました。御礼申し上げます。
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