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Making Of the Bottled Liquid Checker


私達は液体物検査装置を世界で初めて世の中に送り出しました。航空会社様とのコラボレーションやアライアンスを組んだ企業様に恵まれたことなど、いろんな幸運が重なってこの装置を世の中に押し出す事が出来たと思っています。この企画では、そんな開発の過程をちょっとだけご紹介したいと思います。

 

図1: 最初のプロトタイプ。左側の丸いところにビンをおきます。ここから全てがスタートしました。

PHASE 1

韓国での地下鉄で起こった悲しい事件の記憶もまだ生々しいころに、いくつかの要因が重なって東京ガスの研究所に航空会社のニーズが届きました。そして、お話を伺って一ヶ月もたたないタイミングで、プロトタイプ機の提案にこぎつけました。もちろん、様々な制約がある装置ではありましたが、お客様に「へー、そういう事が出来るの」という印象を持っていただいたことが大きかったと思います。ガス業界におけるセンサニーズが多様化する中、そういう小ロット・多品種ニーズに答えるためのラピッドプロタイプを可能にするセンサー制御ボックスがあったことが、驚異的な短期間開発を可能にしたのです。

 

 

図2: 試作2号機。穴の中にボトルを滑り込ませる方式ですが、お客様には不評でした。

PHASE 2

早速、お客様からはいろいろなリクエストがでました。たくさんのお客様が使う可能性のある機器ですから、使い勝手などに関してのご要望がでました。ただ、最終的な機器イメージがまだ確定していないこともあり、メーカー側がこんなのはどうでしょうという提案することが大切です。試作2号機はそんな中での提案でした。最終製品とは違ってボトルを斜めの穴に入れるような形になっていますね。

 

 

 

図3: 試作3号機。製品に近いデザインになりました。まだ、アルミ缶の検査はできません。

PHASE 3

穴に入れる方式は、今ひとつ使いにくいとの声を受けて、斜めの台にボトルを置く形式を採用したのが試作3号機です。また、メーターやモニタなどの複雑な表示を避け、単純なランプとブザーによる表示方式を採用しました。現場で使われる機器はできるだけ簡単にするという、ガス会社での機器開発の教訓がここで生きました。この機械は、アテネで開催された航空セキュリティショーや初めての報道発表の時に使ったモデルで、開発した者にも強い思い入れのある試作機です。

 

 

 

図4: 試作4号機。アルミ缶の検査ができるように。製品のデザインが概ね固まった。

PHASE 4

お客様のニーズには際限がありません。(などといってはしかられますが)ペットボトルだけではなく、アルミ缶の検査もしたいという強い要望がでました。その要求に応えるべく開発したのが試作4号機です。細かいデザインはまだですが、基本的な製品の構成は、この時点で確定したといって差し支えないでしょう。

 

 

 

図5: 最終製品。ライトグリーンとイエローの明るい色合いに。ちょっと安っぽいとの批判も

PHASE 5

試作4号機までは、研究所でデザインを行いました。最終的な製品は、工業デザイナーも入れて最終的な仕様が固まりました。技術者にとっては、製品の機能が全てと思いがちですが、見た目の印象を決めるデザインというのは本当に重要なものだと思いました。また、ランプを遠くからも確認できるようにするための視認性の向上や、はっきりと認識できる一方で、現場で不快感を与えないようにする警報音の設定など、実に様々な事が検討されて、液体物検査装置は誕生したのです。

 

 

 


これだけの開発が、わずか1年半ほどで行われました。開発の途中では、沢山の問題に遭遇しましたが、その都度パートナー企業やお客様である航空会社、そして国土交通省様のご指導・ご協力に支えられてここまできました。今、日本国内のほとんどの空港に設置された実績を踏まえて、液体物検査装置は世界へ羽ばたこうとしています。今後も絶え間ない技術革新と、お客様の声に真摯に耳を傾けながらビジネスを展開していきたいと考えています。

 

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