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レーザーメタン検知器のもうちょっとまじめな原理

 

 

以前に掲載したレーザーメタン検知器の説明はウソというわけではないんですが、実際の処理とは微妙に異なっています。まあ、そんなことはわからなくたってもちろん機器を使うことは可能ですが、もう少し真面目にこの機器の原理について考えてみましょう。

 

受信する信号はものすごく小さい

レーザーメタン検知器が輻射するレーザー光の強度はわずか6.5mWしかありません。さらに、このレーザー光がターゲットに当たって返ってきたときの信号強度は実に10nW〜1μWしかありません。ナノ(n)は10のマイナス9乗、マイクロ(μ)でも10のマイナス6乗ですから、その微弱さといったら半端なものではないのです。レーザーの出力がミリですから10のマイナス3乗ですね。それより3桁から6桁小さい、つまり発射したレーザーのうち、その1000分の1から100万分の1しか返ってこない計算になるのです。

 

さらに、メタンガスによる光の吸収も1%以下しかありません。つまり、その微弱な反射波の99か100かの違いを識別しなければならないことになります。このように漏洩を高感度に検出するのは非常に困難な課題です。

小さい信号を検出ための切り札:同期検波

このようにものすごく小さな信号を検出する時には同期検波と呼ばれる手法が良く使われます。名前は難しそうですが、やっていることはそれほどでもありません。

1. 輻射するレーザーを適当な周期で大きくしたり小さくしたりします。(これを変調といいます。) レーザーメタン検知器では10kHzで変調しています。このようにすることによって、レーザー信号に「目印」をつけると思ってください。


変調:レーザー光線の強さを周期的に変える

 

2. 受信した信号は小さくなっていますが、それでも最初に変調したのと同じ周期で大きくなったり小さくなったりしているはずです。受信信号に目印がちゃんと残っている訳ですね。


送信信号:6.5mW                      受信信号:10nW

 

3. 非常に弱い受信信号から信号を抽出します。具体的には、受信信号に元の変調と同じ周期の正弦波を掛け算します。この操作はラジオで特定の放送局の信号をダイアルを回して合わせるのと良く似ています。全てのラジオ放送局の電波をまぜこぜにした受信信号の中から、聞きたい放送局を周波数という鍵(たとえば文化放送は1134KHzという具合)を使って選び出すのと全く同じ事をしているのです。


同期検波の概念図

 


メタン吸収成分を取り出す:2f同期検波

4.

(3)の方法は、受信した信号の中からレーザー光線の成分を抽出する方法ですが、私達の究極の目的はメタンの検知でした。このままでは、メタンの検知はできません。そこで、レーザーの発振周波数をメタンが良く吸収される波長を中心とした領域で変化させます。変化する周期は、最初にレーザーの強さを変化させた周期と同じです(10kHz)。ちなみにレーザーメタン検知器で使っているメタンの吸収波長は、1.65372μmです。ちゃんと最後の2のところまで合わせこまないとダメです。正確さがとにかく命です。

 

5. メタンの吸収があると、なぜか最初の変調周波数成分のほかに、その2倍の周波数の成分が現れます。ここが、レーザーメタン検知器のミソです。なぜ2倍なのか?そこは難しいのでここでは詳しく説明しませんが、メタン吸収の割合がレーザーの光の波長によって異なる事がこの成分を生んでいると思ってください。とにかく2倍の周波数成分の中にはメタンの吸収とレーザー受信強度の両方の成分が含まれているのです。


2f成分が出てくる理由(わかる人にはわかるんでしょうが)

 

6. これで必要な情報は全てそろいました。最終的に求めたいメタンによる吸収は、2倍の周波数成分を1倍の周波数成分で割り算をしてやれば得られます。


信号処理の流れ

 

どうですか?わかりましたか?そんなに簡単ではないかもしれませんね。でも、1ナノワットの信号から漏れを見つけるわけですから、そう簡単にはいきません。ご質問等ありましたらご遠慮なくお問い合わせください。

 

 

 

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