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炭鉱での可燃性ガス検知

 

 

レーザーメタン検知機のメインの応用は、もちろん都市ガス事業における漏洩検知です。でも、それ以外にもメタンガスが存在する応用はたくさんあります。ここでは、石炭などの採掘現場におけるレーザーメタンの応用の可能性についてレポートします。

 

国内唯一の坑内堀炭鉱で調査

北海道釧路市にある釧路コールマインは、前身である太平洋炭礦(1920年操業)より石炭生産を2002年に引き継ぎ操業している炭鉱で、次々に国内の炭鉱が閉山するなか、ついに地下空間の坑内堀炭鉱としては国内唯一となってしまいました。釧路コールマインでは現在約400名の社員を擁しており、主に発電用として低硫黄、低灰分の高品質な石炭を年間50万トン程度生産しています。現在は、通常の採掘業務のほかに、長年の炭鉱業務で培ったノウハウを生かして、中国やベトナム等の炭鉱技術者を対象とした研修事業を実施しているそうです。

 

炭鉱内でのメタンガス検知について

炭鉱の石炭層にはメタンガスが閉じ込められている場合が少なくありません。それらの層からのメタンガスが坑道内に滞留すると、爆発などの大変危険な状況を引き起こす可能性が高まります。そうしたメタンガスの滞留を防ぐために坑道内の空気の流れを絶えず制御して、メタンガスの濃度上昇を防いでいます。ちなみに石炭層内のメタンガスの湧出量は地上大気の気圧の影響を受けるのだそうです。高気圧の時は石炭層内のメタンガスを押さえる力が強いためガスの湧出量は低くなりますが、逆に低気圧になると押さえる力が弱くなるためガスの湧出が増えるのだそうです。

【定置式メタンセンサ】

坑内には多数の定置式のメタンガスセンサが設置されており、現場のモニター用としてデーターを坑外の集中監視装置に伝送する他、現場の電源遮断(インターロック)用として使用されています。具体的には現場のメタン濃度が設定値以上になると自動的に電源が遮断されるシステムとなっています。とにかく災害を防止するためには高精度での計測性能が求められています。 釧路コールマインでは、これらセンサより送られた情報を集中監視システムによってトレンド監視をし、現場変化に対して迅速に対応しているようです。

【携帯式メタンセンサ】

前述の定置式のセンサの他に、作業員が個別に持っていく携帯式のセンサも使われています。これは光干渉計式と呼ばれるもので最小メモリ2500ppm、検出最大濃度は10%です。吸入口に二酸化炭素を除去するフィルタが装着されています。

 

現場テストの様子

入坑前の指差し呼称

海底下で行われている採掘現場でのテストです。安易な気持ちで行くような場所ではありません。安全靴に作業服、安全ゴーグルはもちろん、ヘルメットにはキャップランプも取り付け、腰にはいざという時に備えて一酸化炭素マスクも装備して入坑準備を整えました。出発の直前には全員で指差呼唱を行い、作業の安全を誓います。ぐっと緊張感が高まります。

規模は小さくなったとは言え現場までは斜坑人車に乗って2000mも進まなくてはいけません。人車の速度は約20km/時程度だそうですが、狭い空間をすごい音を立てて進んでいくと、その何倍にもスピードが感じられました。そのあたりの状況も写真に取りたいところですが、普通のデジカメは防爆仕様になっておらず、持ち込むことさえできません。

余りのすごい光景にポカンと口を開けてしまいました。   坑道の壁に向かってレーザーを照射


坑道の壁面の様子。白っぽく見えるのは炭塵爆発を防止するために散布された岩粉(石灰)

人車を降りてから、試験現場までさらに500m程歩きます。気温はさほど外と変わりませんが、天井までの距離は3m程しかなく圧迫感を感じます。歩くところも所々ぬかるんでいて、よく足元を見ていないところんでしまいそうです。キャップランプの明かりをたよりにゆっくりと進みました。

 

 

 

 

今回の試験では現在販売している2タイプのレーザーメタン検知機(SA3C06A、SA3C31A(レーザーメタンミニ))を使用しました。(なお、両機器とも炭鉱における防爆認証を未取得のため、特別許可にて限定した使用を行いました。)
当初、石炭壁面と言うことから光の反射が少ないためレーザーメタンからのレーザー光が殆ど反射せずうまく動作しないのではないかということが懸念されていました。しかし、実際に測定をしてみると距離10m程度までは殆ど問題なくメタンガスを検知することができました。石炭表面のほかに木や鉄枠などをターゲットとして計測を行いましたが、殆ど問題はありませんでした。

暗い石炭の壁に向けてもちゃんと計測できます。   旧タイプのレーザーメタンでのテストの様子。防塵のためにビニール袋に入れてあります。


今回は一般坑道での試験でしたが、採掘(生産)現場においては、粉塵が浮遊している場合、光が散乱して計測不能になる場合があったとの報告を受けました。光式の計測器ですから、このあたりは原理的にいたしかたのないところかもしれません。

ちょっと見えにくいですが、後ろに坑道掘削を行う機械があります。記念写真を撮っているわけではありません。念のため。

 

まとめ

地下深い海底炭鉱でレーザーメタン検知器がどの程度使えるかをテストしました。当初石炭壁面での反射率から実用的に使えるかどうかが危ぶまれましたが、実用的には殆ど問題がないレベルで使用することが可能であることが確認できました。残念ながら日本国内では坑内掘炭鉱そのものが殆どなくなってしまいましたので今後の展開も期待できませんが、海外ではまだ相当数の坑内掘炭鉱が運用されており、レーザーメタンの応用先として期待されます。

最後に、今回の試験では、釧路コールマイン株式会社ならびにKCMエンジニアリング株式会社に現場での試験に際して大変お世話になりました。そして試験に当たっての仲介の労をとってくださり、また現場での様々な技術的アドバイスをいただいた独立行政法人 産業総合研究所環境管理技術研究部門の野田和俊先生も深く御礼申し上げます。

〔注意〕炭鉱でのレーザーメタンの応用に関してはそれぞれの使用国での防爆を含む安全基準を満足する必要があります。現状の製品は、それらの基準に関しては未検討ですのでご注意ください。

 

 

 

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