年が明けてから立場も変わり、自分のやっている仕事は一緒でも周りで起こるいろんなことの見え方というか感じ方が少しずつ変わってきているように思う。年度末でもあり、今回は仕事の見え方の変化について考えてみたい。
自分が身を置くガス業界は大きな変革期を迎え、これまでのやり方を大きく変えていかないと時代の流れについていけなくなった。そこで、これまでの業容に縛られることなく、できるだけ早く新しいビジネスを展開することが必要になっている。そのために自前で何でもやるのではなく、外部の力もうまく使ってビジネスモデルを構築することが技術者に求められ、オープンイノベーションなどの新たな開発方法が盛んに行われている。
こういう今風の開発手法を実行する際には、いつまでにどんな成果を上げるかをきちんと決めて、ステークホルダーがそれに向かって協調していくことが大事ということになる。ゴールに向かうロードマップのイメージ化だ。開発に成功したプロジェクトを総括してみると、それぞれのステップで的確な判断が下され、最終的に成功到達した道筋は、まさにそうしたロードマップ通りに展開したようにも見える。皆が、そうした成功事例をわが物としたいと思うのも無理のないことだろう。
しかし、実際に起こることがロードマップとはだいぶ違うことは、実際にプロジェクトをやったことのある人なら誰でも知っていることでもある。仮説を検証してみると思ったような結果が出ず、話が何歩も逆戻りすることはよくあることだ。たいして時間がかからないと思っていた問題解決に予想以上の手間がかかってプロジェクトが遅延することもあるだろう。うまくいった話をくっつけた成功事例をいくら見たところで、そういうリアリティは見えてこない。それは勝者によって書かれた歴史のようなものである。
でも、頭の中がロードマップしかない人にとっては、こういう遅延や後退は受け入れがたいに違いない。だってそんなことはロードマップには書かれていないのだから。ロードマップが悪いとは言わないまでも、仕事のそれぞれのステップにあそびがないと、ちょっとした想定外の事象に対しても対処できなくなってしまうことは否めないと思う。自分の目線の位置が少し変わって見えてきたことは、なんかそういうあそびのなさによって身動きの取れなくなった構図が多いなあということのような気がする。シナリオに縛られて息が詰まりどこにも行けなくなってしまった図式が至る所に転がっている。
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