私事で恐縮だが、10月1日付けで営業と兼務になった。何となく社内では技術屋として知られていたので、「なんで営業なのですか?」と声をかけられることも多い。自分としても入社以来35年以上ずっと技術者としてのキャリアを積んできたつもりなので、間もなくそのキャリアも終わりを迎えるというタイミングで営業に兼務とはいえ配属になるのは、ちょっと驚きと言えば驚きであった。
まあ、いろいろな事情があっての人事異動ではあろうけど、もちろんここでその話をしようとは思わない。それよりも、長い技術屋サラリーマン人生の総まとめというタイミングで営業になったことの意味を考えてみたいと思う。技術者というのは基本的にモノを相手に仕事をする。まあソフトウエアのようにものとは言えないようなこともあるけど、基本的に人間ではない対象にいろいろ仕掛けをして価値を作る。センサーを使った製品に多くかかわってきたので、その感度や雑音、大きさや価格、いろんな要素がこんがらがったお話を何とか解きほぐしてきれいなストーリーにしていく、そんな仕事の連続だった。苦労することも多いけど、ものが出来上がった時の達成感も何度か味わった。世界で初めて実用化した装置などにも関われて恵まれた技術屋人生だったと思う。
そして今、兼務とはいえ営業の仕事をすることになった。もちろん今までだってお客さまとの折衝や製品の値段を決めるプロセスに関与はしてきたので、営業っぽい仕事をしてこなかったわけではない。だが、ずっと前に研究所で仕事をしていたころには、とてもじゃないけどお客様の前に行って交渉などできるスキルなど持ちえなかった。お世話になった営業の先輩には、「昔はひどかったねえ。」とよく言われる。そのころは、とにかくきちんとモノを作れば、お客は頭を下げてその製品を買っていくものとナイーブに思っていた。でも実際にはそんなことはある訳もなく、お客さんの顔色を見ながらなんとか話をつなげていく営業の仕事の大切さにだんだん気が付いてここまで来た。ずいぶん変わったと言えば変わったものだと自分でも思う。
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