もう一つの感染対策

 
  Vol.234
2020年5月14日
 
     
     

例年とはずいぶん感じの違うゴールデンウィークは終わったけれど、緊急事態宣言が延長されて在宅勤務がさらに継続することになった。個人としてできることは、手洗いをしっかりすることと余計な人ごみに出かけて行かないこと、それぞれができることをちゃんとやることが大切なのだろう。

 いろんな人が今回のコロナの蔓延の後にくる社会についてコメントしている。その中で、『ホモデウス』などの著作で有名なイスラエルのハラリ氏の話が印象に残った。氏のベストセラーを以前に一度読もうとしたのだけれど、なぜか途中で挫折したのを覚えている。先日のNHKのインタビュー番組でのコメントの中で、コロナの蔓延によってもたらされる人々の争いを何とかして避け互いに協力することが大切だと指摘していた。この感染症は既に世界に広がっており、どこかの国が加害者で他の国が被害者といっても問題の解決にならないという。互いに協力することしか道はないのだ。ごもっともなことだと思う。

そして、この協調のプロセスは実はコロナとの戦いではなく、それぞれの個人の心の中にある悪魔との戦いであると氏は指摘した。皆の心の中にある怒りや恐れといった「心の悪魔」をいかに抑え込むかということが課題なのだという。非常事態宣言という抑圧された時期が長く続き、デマの拡散やコロナ対策に関する際限ない非難なども目に付くようになってきた。それは人々の心の中の悪魔が表に出てきてしまったと、ハラリ氏は見ているのだろうと思う。さらにネットを通じてそういう心のあり様が容易に感染することにも注意したい。コロナの物理的な感染ではない、この心の感染は残念ながら「三密対策」では防ぐことはできない。

だからといってインターネットをやめてしまえばいいということではない。問題の本質がそれぞれの心の中にあるという意識を持ち、落ち着いて生活をすることが一番大切なことだと思う。

ハラリ氏の本をもう一回手に取ってみようかと思った。感染者の数も少し減ってきた。もう少しみんなで頑張ろう。





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