フィルム現像500本

 
  Vol.225
2019年9月30日
 
     
     

何年前に数えはじめたか定かではないが、現像したモノクロネガが500本になった。ひと月に2本フィルムを回すとして約20年かかった計算だ。

現像した際には、新しい現像液をいつ作ったとか、ネガの調子がちょっと濃すぎるとか、気が付いたことはメモするようにしているのだか、20年前と比べて、やっていることはほとんど変わらない。 フィルムをダークバッグの中に入れて、現像タンクに巻き取って現像液を入れる。 もっとも重要なのは温度管理で、予め温度調整した恒温バスに入れ、温度を確認しながら、タンク攪拌を30秒おきに3回繰り返す。 こう書くと複雑なプロセスのように思えるかもしれないが、慣れてしまえばそれほどのこともない。

それでも、長年同じことを繰り返していると、細かいことに気が付くようになる。 カメラごとの露出傾向のわずかな違いや、自動露出であっても明るいところで写真を撮るとちょっとオーバーになる傾向があることなどがわかってくる。 さらに一枚の写真をとるまでには、実に様々な要素が絡まっていることもなんとなんとなく意識できてくる。 撮影時の条件(フィルム感度、カメラに設定する実効感度、露出の測り方との設定etc…)によって、現像時のパラメータ(現像液の濃さ、温度、攪拌頻度、現像時間…)を調整することで、初めて納得のいくネガが出来上がる。 実際には現像の後に印画紙への焼き付けというプロセスもあるので、一枚の写真の出来上がり決める要素の数はさらに多くなる。 写す対象はもちろんいつも違うので、これらの要素からベストの組み合わせを選び出すのは簡単ではない。 というか、固定したベストの現像の仕方というものが存在する訳ではなく、撮影条件によって現像の仕方も異なってくるはずだ。

これだけの要素が絡み合ったモノクロ写真の現像プロセスを、なんとなくだけど上手くコントロールできている感覚を楽しんでいる自分に気づいた。 長年やっていると、だんだんセオリー通りのシンプルなプロセスに収まってきた気がするが、シンプルなプロセスからのわずかな揺らぎに注意を向けるのも重要だ。 最近では、以前ほどたくさんの写真を撮らなくなったので、1000本めに到達する自信はないけれど、デジタルでは経験できないちょっと複雑で奥深いプロセスをもう少し楽しんで行きたいと思う。






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