ストックビジネスとフロービジネス

 
  Vol.211
2018年9月28日
 
     
     

世の中には色々なビジネスがあるが、普通それは業種によって大別される。食料品の分野のビジネスもあれば建設関連のビジネスもあるだろう。そういう分け方の他に、ビジネスを大きくストックビジネスとフロービジネスに分ける見方もある。ストックビジネスの典型的な例はガス事業や電気事業といえるかもしれない。他方、フロービジネスは、いわゆる物販のようなビジネスをさす。一生懸命営業をして発注を勝ち取り、モノを納めるという流れで完結しているのがフロービジネスの定義である。次の売り上げのためには、また一からコツコツと営業活動を積み上げる必要がある。結構きつい商売形態と言えるかもしれない。これに対してストックビジネスは、顧客との契約によって長期間の販売が確定しているようなビジネスであり、安定的な収益を上げることができるということになっている。

このようにみるとやっぱりビジネスはストック型がいいよね、と思えてくる。しかし、最近そうでもないケースが増えてきているように思えて仕方がない。独占であったユーティリティ市場はどんどん自由化され、お客様の争奪戦が繰り広げられている。携帯電話の会社の切り替えの営業はどこの駅前に行っても目にする。高い携帯代金にあえいでいるユーザーは、ちょっとでも安い携帯会社があればすぐに乗り換える。こういう状況は、ストックというよりもフローに近いビジネス形態に見える。

他方、モノを作って売るメーカーのビジネスだって、ある程度以上の規模(マスプロダクション)になってくると、個々の販売はフローの営業活動に支えられているとは言え、年間の生産台数はある程度読めるようになってくる。市場動向によって変動はあるものの、各社は予想に基づいて生産を行っているに違いない。そういうビジネスの形態は、見方によればストックビジネスっぽいとは言えないだろうか。こんな風に考えてみると、ストックビジネスとフロービジネスの境目というのは、我々が思っているほどはっきりしているものではないような気がしてきた。

翻って研究開発はどっちのタイプの活動かと聞かれたらなんと答えるだろう?一つのテーマに取り組んで、それが終わるとまた別のテーマに取り組む。なんとも疲れる仕事の仕方だ。間違いなくフロー型の仕事のようにも見える。でも、いろんな研究をしているうちに、そこにはコア技術とか専門分野と言えるような領域が固まってくる。そうした積み上げを生かして問題を解決するプロ集団と考えるとストックビジネスのような気もする。うーん、良くわからない。

こんな風に考えると、ストックビジネスとフロービジネスというのはビジネスの絶対的なタイプの規定というよりも、程度問題としてのビジネスの相対的な見え方に過ぎないような気がしてきた。あるビジネスの形態が、見方によってはストック型に見えることもあれば、別の見方ではフロー型にも見えるということだ。

一旦ストックビジネスとしてうまく行ったとしても、その構造に胡坐をかいて何もしなければ、ビジネスの基盤となっている技術やノウハウが陳腐化してしまう。逆に、なんの蓄積もなくとにかくモノを売りまくっているだけでは、長期間にわたる継続的なビジネスは難しい。ストックとフローはお互いがお互いのしっぽを追いかけてくるくる回っているような存在なのである。

ストックビジネスとフロービジネスに限らず、相反するコンセプトを相対化してみることは時として問題の解決に大いに役立つ。まずは、どっちが良くてどっちが悪いという判断をいったん横に置き、相反する立場から目の前の事柄を見てみることが大事だ。

 

 






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