2017年8月10日
Vol.199
 
     
スケッチについて

写真を趣味にしている。それもデジタルではなくてアナログ、つまりフィルムでモノクロ写真を撮る。写真についてはコラムでも何度も取り上げてきたのだが、最近はさらに症状が高じて(?)スケッチに手を出し始めた。会社の昼休みにも、小さなスケッチ帳を片手に東京湾が見えるところまで行って船の絵などを描いている。ペンで一気に輪郭を描いてから色鉛筆で色を付ける。30分ほどしか時間はないので、あれやこれやと迷っている暇はない。えいっと思ったところを一気に書き上げる。人からうまいですねなんて言われると悪い気はしない。

スケッチを人に見せると良く聞かれることに

「どうすれば、上手にスケッチが描けるようになるのですか?」

という質問がある。以前同じような質問を自分もしていたような気がするのだが、そういう質問には、

「才能なんかいらないですよ。良く見て描けばいいんです。」

などと答えるが、ほとんどの人は納得しない。そう言えばスケッチやデッサンの本を見ても、同じようなことが書いてある。でも、良く見て描くってどういうことだろうと思われないだろうか。みんな目を開けて目の前にある人やものを見ているわけだから、良く見てと言われてもどこをどうよく見ればいいのかもわからない。

例えば、目の前に大きなビルがあったとする。良く見てそれを描こうとする。ビルは基本的には長方形の形をしているから、その通りに良く見てビルを描く。ここに間違いが潜んでいる。つまり、言うまでもないことなのだが、近くにあるものは大きく見え、遠くにあるものは小さく見える。したがって、長方形だと思っているビルだって、本当によく見ればそれは平行になっているのではなく、先が細いコーンのような形に見えているはずである。でも、我々の脳みそは、「ビルは長方形の形をしている。」という認識があるので、コーンのように見えるビルをコーンのような形として認識しない。コーンのように見えても長方形のように認識してしまうのだ。それはビルに限らず道路でもなんでも同じである。

少しスケッチをやっていると、この辺の脳の認識とどう対峙するかということがポイントになってくる。ビルを描くとき、平行だと思っているビルの各部分の長さを物差しを使って測ってみると、なんと上部は下部の四分の一くらいしかないことに気が付いて驚く。
この辺にスケッチをうまく書くためのコツが潜んでいる。頭の認識プロセスを介さずに「良く見て」描くことが大事だ。遠近法のようなテクニックを前面に出して、絵を描いていくことも有効だろう。そう思ってスケッチの本をもう一回見てみると、著者の言いたかったことが今になって理解できた気がする。

スケッチ、やってみませんか。楽しいですよ。






Copyright 2017 TOKYO GAS ENGINEERING SOLUTIONS CORP. all rights reserved.

個人情報のお取り扱いについて