2017年5月2日
Vol.196
 
     
コペンハーゲン解釈について

「コペンハーゲン解釈」という言葉を聞いたことがあるだろうか?第2次世界大戦前のヨーロッパで繰り広げられた理論物理学の飛躍的な発展の中で、量子力学の説明として提示されたのが「コペンハーゲン解釈」である。この名前は当時ニールス・ボーアという世界的な物理学者の研究所があったのがデンマークの首都・コペンハーゲンだったことに由来する。ちなみにノーベル賞まで受賞したニールス・ボーアは、すごく几帳面な人で、ちょっとした手紙を書くにしても何度も推敲を重ねたという。到底私にはまねができない。

名前の由来がわかったからと言って、その解釈の意味が分かるわけではないのだが、例えば「光は、波でありかつ粒子であるが、観測するまではその光は存在しない。」という解釈のことを指すらしい。いよいよわからなくなってきたという声が聞こえてきそうである。

でもこの話を呑み込めなかったのは、我々凡人だけではない。かの大天才アインシュタインも、生涯「コペンハーゲン解釈」というのを受け入れず、主流派の物理学者達からは疎まれる存在だったというのはちょっと意外だった。さらに言えば著名なノーベル賞受賞者であるリチャード・ファインマンも、「量子力学を理解している人は一人もいない。」と言ったという。ノーベル賞を取ったファインマンさんが言うんだから、自分が理解できなくてもちょっとは安心してもいいかもしれない。

今、私たちが使っている電気製品から衛星通信に至るまで、間違いなく様々なところで量子力学の理論が使われている。普通は、そういう技術の元になっている理論は、凡人には分からずともわかる人にはちゃんと分かっていると皆思っている。ところが、ちょっとその歴史をひも解いてみると、必ずしもその土台は盤石ではないことが見えてくるのである。

でも、そういう話って実は量子力学だけではない。例えばニュートンの万有引力の法則を考えてみよう。ニュートンが木から落ちるリンゴを見て思いついたという有名な法則だ。離れたところにある二つの質量が引き合う時に働く力を与える式である。まあ、誰でも知っているはずだし、その意味を皆理解していると思っている。でも、この万有引力という力はどういうメカニズムで働いているかと聞くと、途端にわからなくなる。100億光年離れたところにある星同志にも小さいながらもこの力は働いているはずである。そんなに離れていても、両者に力が伝わるのに時間はかからない。ゼロ秒で力は伝わる。そんなことってあるんだろうか?

あんまり気の利いたことは書けないのだけど、量子力学の歴史が実にダイナミックに描かれている参考文献の本がすごく面白かったので、ちょっとその感想を書いてみた。少し物理の知識があった方が読みやすいかもしれないけれど、是非手に取ってみていただきたい一冊である。

参考文献:マンジット・クマール著、青木薫訳、量子革命、2017、新潮文庫

 

 


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