2015年6月16日
Vol.174
 
     
天体観測のコツ

私はいくつかの趣味があるのだが、その一つに天体観測というのがある。25センチもある大きな口径の反射望遠鏡なんかも持っていて、千葉に住んでいたころは田舎の田んぼの中に道具を持ち出して何光年も彼方の銀河を眺めていた。でも、数年前に都内に引っ越してからは、光害のためにそういう微かな対象はさっぱり見えなくなってしまい、今では太陽と月ぐらいが観測対象になっている。

 遥かかなたの銀河を望遠鏡で見る。たまには観望会を開いて近所の人にも見せてあげたりすると、とても喜ばれる。土星の輪とか木星の大赤斑、オリオン座の大星雲なんかは、日ごろから見慣れていない人でもすぐわかる。でも、より遠くの微かな対象になってくると、とたんに見えなくなってしまう。私には、視野の真ん中にしっかり見えている星雲が、他の人にはさっぱり見えないこともしばしばだ。

 なぜ、そこにある星雲が見える人と見えない人がいるのか。おかしいといえばおかしな話ではある。

でも、暗いところで微かな星雲を見るには、いくつかのコツがあって、それを習得していないといくら頑張っても見えないのである。

 (1)そらし眼で見る。

人間の目の網膜は、中心部よりも端っこの方が感度が高い。だから、対象を見る時に、それを見つめるのではなく、そらし眼で見ると、より感度の高い網膜の部分に結像するので、より暗い対象が見えるようになる。

 (2)息を止めない。

望遠鏡で天体を見ると、つい息を止めてしまう。そうすると血中の酸素濃度が下がってしまって、目の感度が下がってしまうのだという。観測の前に何度が深呼吸してから暗い天体にチャレンジする人もいるらしい。

 (3)動かないでじっと見る。

カメラで暗い天体を撮影するときには、カメラの動きを星に同期させて長時間露光すればよいことを知っている人は多いだろう。人の目にはカメラのような光の蓄積効果はないことになっているが、実は数秒くらいは光を貯めることができるという話がある。つまり、天体がある場所をじっと動かないように見つめることで、光が蓄積されて見えるようになるらしい。

 個人的には、(1)については経験しているが、(2)、(3)についてはよくわからない。でも、ある程度はそういう効果もあるんじゃないかと思っている。そういう体の反応を見きわめながら天体観測をするのも楽しいものだ。

 今、社会は目まぐるしく変化している。目の前の状況がどうなっているかをしっかり把握することは非常に重要なことに違いない。そんなことはわかっているから、皆せっせとスマホでいろんな情報をチェックしている。でもね、目の前のものをちゃんと見るって、天体観測同様、案外難しいじゃないだろうか。ちょっとしたノウハウを知らないと、目の前で起こっていることもちっとも見えないのかもしれない。

天体観測ノウハウが、そんなとき案外役に立つんじゃないかと思う。

 

 

 


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