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2008年11月10日

Vol.088

     
トリムについて
 
       
 

トリムと聞いて何の事だかわかるだろうか。飛行機操縦時の操作のことなのだが、ちょっと分かりにくいので車の運転にたとえてみよう。車の運転をしている時、普通ならハンドルから手を放していれば、普通は車はまっすぐ走る。しかし、何かの要因、たとえば強い横風でハンドルをまっすぐにしてもどんどん右に曲がってしまう状況になったとしよう。こうなると、ドライバーはいつもハンドルを少し左に切っていないとまっすぐに進めない。まあ、風が吹いているんだから仕方がない。こういう状態での車の操作は、左に少しハンドルを切ったところを中心に調整しなければいけないから、なかなか大変である。こういう時に車輪の角度を自動的に少し左にすることにより、運転者は風のことを気にせず普通どおり運転することができれば便利だろう。実は、こういう操作のことを飛行機ではトリムをとるというらしい。もともとtrimという英語にはつり合いを取るという意味があり、ここでは風の力と操舵の釣り合いをとるというくらいの意味と考えればわかりやすいかもしれない。

このトリムを取るという操作をビジネスに置き換えて考えてみた。ビジネスシーンにおいて飛行機の操縦における風に例えられるような外部状況はいろいろあるだろう。まあ、昨今の経済状況は暴風雨と言ってもいいかもしれない。それら外部要因についていつも気を付けていることはビジネスを進めるに当たってはとても大切なことには違いない。でも、ハンドルを左に切りながら運転するのはとても大変なように、いつも外部要因による影響を考えながら対応をしていてはたいへんだろう。そういうとき飛行機でトリムを取るように、外部要因の大体の影響をビジネスの中に織り込んでしまうのである。一旦、外の風に実をまかせて、どのくらい舵をきれば流れに乗ることができるのかを見積もるということかもしれない。その見積もりの程度は、それほど正確でなくてもかまわない。つまり、一度調整して、それでも不足ならもう少し余計にトリムを取るし、逆にやりすぎたらトリムの程度を軽くすればいい。そういう操作を数回も繰り返せば、流れにそうための適正値をみつけることはそれほど難しいことではないだろう。

ここで大切なことは、どれだけトリムを取るかということよりも、まずトリムをとってみること、そしてその上で自分の進みたい方向に舵を調整してやることが大切なのである。今の時代はとかく不透明だという。確かに新しいビジネスを見つけることも、そう簡単ではない。たとえ美味しそうなビジネスを見つけても、外部要因の変化ですぐに時代遅れになってしまう。こうした状況は産業のどの分野でも同じだろう。とりあえずハンドル(トリム)を切っておいて、それから微調整をくりかえす。そうすれば市場動向がだんだん変化したとしても、その状況についていくことも可能になる。

大雑把に流れを捉えてから微調整を行うという方法論、かっこよく言えばTrim and Fine tuning。ビジネス展開にこういう方法論を組み入れることも大切だと思う。

 

 
       
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