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2008年9月10日

Vol.086

     
仕事を考える
 
       
 

仕事というのは最終的には成功しなければ意味がない。だからうまみのありそうなビジネスをみんな探して、それを自分の手柄にしようとするわけである。そのことは何の問題もない。極めて健全な経済活動である。上手くいきそうなことをさらに伸ばして、うまくいかないことはさっさとやめる。いわゆる選択と集中という戦略である。今の時代、中途半端なことをやっていてはすぐに通用しなくなる。強みを伸ばして弱みをできるだけなくすのだ。企業の戦略は多かれ少なかれこの路線上にある。売れない製品は廃品とし、売上の伸びない販売店は閉店するのは納得感のあるところだろう。

でも、いろんな仕事をしていて最近気づいたことがある。何か仕事を成し遂げようと思ったら、うまくいくことがあったら心の中で「これはやばい」と考え、うまくいかないことがあったら心の中で「よし、まだ先に進める」と考えることがコツのような気がするのだ。選択と集中の話とはちょっと違うのだけど、なんというか心の中に隙が生まれた瞬間に、その仕事は墜落してしまうような気がして仕方がないのだ。心の隙というのはいつ生まれるか、と考えれば当然それは何かが上手く行った時に生まれるに違いない。「これでよしよし」と思ったときに、その成功の裏側にある慢心がちらちらと顔をのぞかせてくる。逆に失敗した時というのは、そこに失敗した原因が必ずあるはずである。その原因に心を向けている限り、まだ進歩する余地がある。

良いことを悪いと考え、悪いことを良いと考える。なんとまあ、ひねくれたものの考え方ではある。でも、世の中の様々な事柄というのは、実は突き詰めて考えると矛盾に突き当たる気がする。100%良いこともなければ100%悪いこともない。物事というのは、すべからくどこか良いところと、どこか悪いことの混ぜ合わさったものにすぎない。良いと悪いが混在する存在、すなわちそれは矛盾である。だから、プロジェクトをリアルなものとするためには、そこには矛盾が存在しなければいけないのである。100%完全に成功するプロジェクトなどありはしないのだから。

会社の社長というのは大変な仕事だと聞く。それはそうだろう、会社が存続するためにはかっこいいビジネスモデルだけでは成り立たない。社員に払う給料や、仕入、販売戦略などなど、互いに相容れないような話が山のようにあるのだから。たぶんそういう話は、最後までちゃんと割り切れはしないのだろう。社長が一人でゴックンと飲み込むしかないのだと思う。そういう矛盾を飲み込むからこそ、会社は存続していけるのだと思うのだ。ビジネスモデルももちろん大切なのだろうけど、たぶん一番大切なのはそういう矛盾をどれだけ飲み込めるかということにかかっているのだと思う。もちろん、自分は社長ではないけれど、ちょっとでも心を強くして、良いことを悪く考え、悪いことを良いと考えて仕事をしていきたいと思う。でも、心ってどうやったら鍛えられるんだろう?

 

 
       
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