商売のサイエンス トップへ

 

     

2008年6月6日

Vol.083

     
世界は回る
 
       
 

 

以前にも書いたことがあるのだが、どこかへ行こうと思ったら逆方向に行くのが一番の近道であることが多いと思う。突然こういうことを言われると、戸惑うかもしれないが、

− 遠くへ行きたければ足元をよく見ることが大切だ。
− 早く進みたければゆっくりと進むべき道を考えれば良い。

なんていわれると、なるほどそんなものかもしれないなあと思われるかもしれない。ちょっと仙人に諭されたような気にはなりませんか?でも、そういう例って沢山あると思う。それでは、なぜそういうことになるのだろうか。今回はそんなことをちょっと考えてみた。

営業の大きな方向を実現するためには、営業マンの小さな一言に気を配ることが大切なのと同時に、逆に個々の営業マンのマインドを変えるためには会社の向かうべき大きなスローガンを決めることが大切なのだろう。(あっ、そういえばいまごろ会社の中期計画を皆さんで考えているころですね。)こんな風に考えると、大きいことと小さいことは実は同じことなのではないだろうか、と思えてきた。会社の運営のための大きな目標と小さな目標は互いが互いの周りをくるくると回っている。どっちが大切でどっちがつまらないことかは、その時々で違って見えているだけではないかと。

こういうことって、社会のいたるところで見え隠れしている。例えば公共的な事と私的な事、公共の福祉を充実させるためには個人個人の考え方が大切だし、私的なことを尊重するためには社会全体の方向性が大切になる。どっちが先でもどっちが後でもない。すべてはぐるぐる回っているのだ。

もっと抽象化すると良い事と悪い事だって、ひとつの輪の一部でしかないようにも思えてくる。時代が変われば良かった事も悪くなり、悪かった事も良くなることがある。地球温暖化が叫ばれる今の地球だって、30年前には地球寒冷化が懸念されていたように。対極的な二つの事柄は、すべからく互いに関連し合い、互いの周りをくるくる回っているのだ。

もし、それが事実なら次のようには考えられないだろうか。今日やっている仕事が失敗したとしても、それは大きな成功につながっているかもしれないと。いや、間違いなく大きな失敗は大きな成功につながっているのだ。そう思えれば、毎日の仕事の苦しさから少しは解放されませんか?つらいと思っているのは、あなたがそう思っているからに過ぎないのです。

ここでちょっと注意しないといけないことがある。もし、すべての事柄が実は同じところにつながっているとすると、あれやこれや考えるなんて無駄ではないか―我々のすべての活動は無意味なのではないか、と考えてしまうことである。
多分それも真理の一面を突いているのだろうけど、それではつまらない。そう、つまらないじゃありませんか。どうせ人生やるなら汗かいてぐるぐる回っていた方が楽しいんじゃないかと。もしかすると人生とはその程度のことなのかもしれない。

 

 
       
  ← Vol..082
Vol..084 →  
       


© 2005 TOKYO GAS ENGINEERING SOLUTIONS CORP. all rights reserved.

個人情報のお取り扱いについて   サイトのご利用について