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2008年1月10日

Vol.078

     
年末ジャンボ宝くじを考える
 
       
 

 

毎年大晦日に当選番号が決められる年末ジャンボ宝くじ。何億円もの大金を手にしようと夢を求めて購入する人も多いだろう。ただ、私は今までに宝くじなるものを買ったことがない。一応サイエンスを多少なりともかじった者として、宝くじの当選確率の低さがあまりに低いことを知っている以上、夢を買っている人には申し訳ないが、ばかばかしくて金を使う気にならないのだ。もちろん、宝くじの売上金は当選金以外のいろいろな目的に使われるわけだから、確率と当選金をかけた期待値という値は、購入金額を下回る。科学的に考えると宝くじを買うという行為は正当化できないのである。ここでいう「科学的」という言葉は「長期的に」と置き換えても差し支えない。たくさんの宝くじを長年買いつづけると、くじ一枚あたりの当選金はその期待値に近づいていくということである。だから宝くじなど買っても儲かることはないということになる。

とまあ、ここまでは統計の授業を聞いているような話なのであるが、ここで何が言いたいかというと、それではなぜ人は宝くじを買うかということが気になるのである。夢を買うためと多くの人は言うかもしれない。夢なんて買っても仕方がないようにも思える。夢なんか食えやしない。もっと確実な選択肢を探すことが、賢い人のすることだと思っていた。

でも、最近ふと気が付いたことがある。新規事業を探して、いろんなことをやっている自分の人生って、宝くじそのものではないかと。もっと賢ければ、周りの人たちも認める無難なことをトライするだろう。そこをわざわざ人が誰もいないような荒野を走り回っている。まさに宝くじを買って当たりを願うようなものではないかと思い至った。では、なぜそうやって新しいことにチャレンジしつづけるかというと、それはそのほうが面白いからとしか言いようがない。夢を追い求めているのは、あれほど馬鹿にしていた宝くじを買う姿勢と何ら変わりがないではないか。

宝くじを買う人は、実はその確率がとても低いことなど先刻ご承知なのである(多分)。でも、それを言ったらしまいではないか。そんなことはわかった上で、毎年大晦日の抽選を楽しみに宝くじを買うのである。ちょっと大げさかも知れないけど、人生って結局そんなものかもしれないとも思う。厳密に正しい理論もビジネスモデルもありはしない。その意味では全ては虚構である。そんなことはわかった上で笑って商売を考え続けるのである。宝くじと新規ビジネスを同じものだというつもりはないけれど、今年の商売のサイエンスは、こんな感じで行こうかと思っている。

   


 
       
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