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2007年1月10日

Vol.064

     
インターネットのお気に入りを考える
 
       
 

 

しばらく「お気に入り」が変わってないことに気がついていた。そりゃ気に入ったサイトがそんなにある訳もなく、変わらなくたっていいと思うかもしれない。でも、インターネット・イクスプロラーの名前が示すように、その画面の奥には無限といいと言って良いくらいの世界が広がっている。ブラウザによって世界をどこまでも探検(イクスプローラー)することができるはずである。世界中にあるコンピュータがそこにはつながり、ありとあらゆるコンテンツがアクセスを待っているのだ。

そんなあたりまえのことに何の意味があるのか。私はお気に入りって「人の意識」にとてもよく似ていると思うのだ。それぞれの人にとって世界とは、この世にある森羅万象全てではなく、その人があると認めた事柄だけであるはずである。見たことも聞いたこともないことは、その人にとっては「あるかもしれない」かもしれないが、何せ聞いたこともないのだから、それはこの世に存在しいているとは言えない。そう考えると、ほら、意識ってブラウザのお気に入りのようなものに過ぎないでという論もあながちおかしくはないだろう。人によっては世界はファッションの流行に埋め尽くされているように見えるかもしれないし、またある人には天文とカメラに大部分を占められたようなものかもしれない。そして、その決まった世界の中というのは、ある意味で居心地がよいかもしれない。わかったようなことをわかったように議論して、なんとなく納得する。驚くようなことや、びっくりするようなことは何も起きないだろう。だってそれはもうお気に入りに入っているんだから。

でも、世界は決してそれだけではない。世界を広げることは、その世界を見ようとすることから始まる。今まで考えたことのないキーワードを入力して出てきたサイトをお気に入りに登録する。そうすれば新しい世界が見えてくるはずだ。

逆に考えると、「お気に入り」は意識をある方向に向けてしまう無駄な存在かというと、そんなことはない。例えば検索エンジンそのものは、何でも探してきてくれるが、逆に言えば各個人にとってはいいものでもなんでもない。ただの道具に過ぎない。人の意識はその人のものであり、「お気に入り」こそが人を人たらしめるのである。

新しいキーワードを入力し、新しいお気に入りを登録しよう。そしてずっとアクセスしていないお気に入りを削除しよう。その変化こそに意味がある。

お気に入り。それは人の意識そのものである。

 

 

 
       
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