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2005年7月7日

Vol.011

     
表と裏
 
       
 

コインには必ず表と裏がある。表だけのコインはあり得ない。それは、どっちが表でどっちが裏かという問題ではない。物事には2つの側面があるということがポイントだなのである。このことは、決してモノの話だけではない。組織だって同じである。表もあれば裏もある。社会の中に存在し続けるためにはそれが何であれ、表と裏がどうしても必要なのだ。

カリスマ社長のいる会社。あの人の言うことなら間違いないと誰もが信じて疑わない会社。それは、あたかも表しかないコインのようなものではないだろうか。逆も言える。社員の文句ばかりの会社というのは裏しかないコインのようなものだ。どちらもきっと長続きはしないだろう。だって、そんなものは存在しないのだから。

会社がある。社長が旗を振って皆を引っ張って行こうとする。ビジョンを掲げて指導力を発揮する。とても大切なことだ。そういう力のない社長がトップをやっている会社というのは大変だろう。でも、社内にその意見に対して反対意見を言う人がしっかり発言権を持っている会社というのは安心感がある。非常弁がついているといっていっても良いかもしれない。何かがあったときの暴走を止めることが出来る。それは、まさにコインの表と裏の関係に違いない。

逆に考えて、何か物事を考えるときに何が表で何が裏かということを意識して見るのも面白いと思う。それはどちらが正しくて、どちらが悪いという話ではない。相反する2つの視点のぶつかり合いとして目の前にある事柄を捉えるのだ。その両方の視点を意識することによって物事のバランスが見えてくる。どちらが正しくて、反対が悪いと考えるとだめである。あくまでも両者は対等な関係にあると思わなければいけない。

その二つの相は片方が優勢になることもあれば反対の相が優勢になることもある。それは大きな流れの中の揺らぎに過ぎない。昔は良いといわれたことが今では間違ったことと認識されていることなど、いくらでも例を挙げることが出来るだろう。私が子供のころは日焼けをして皮がむけるくらいになる方が元気で良いといわれたものだ。でも、今は癌になるから日に焼けて真っ黒になるなんてとんでもないことだといわれる。まあ、そんなものである。要するに、どっちが良くてどっちが悪いという話ではない。

しかし、良いも悪いもないということになると、じゃあ最後はどうするのだろう。どっちでも良い、では話はつかない。白黒はっきりしなければ話は進まないのだ。ここが難しいところだ。どっちが良いか悪いかと決め付けず物事を考えることが大切なのだが、最後にはどっちにするかを決めなくてはならない。いつかは最終決断をしなくてはいけない。

それは、言ってみればお芝居のようなものなのかもしれない。自分がやろうとすることが絶対的に正しいことなどあり得ないとわかっていながら、あたかもそう信じているような振りをして全力を尽くす。そう、それは演技である。完全な製品などできないとわかっていながら、完全な製品を目指して全力で進む。それはお芝居だ。ちょっと悲しいけど、それが人生というものの本質なのかもしれない。

 
       
 
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