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第11回 交流抵抗と直流抵抗について

 


センサ道場第11回の登場です。
動作点などという、ちょっと聞き慣れない言葉が出てきて少し混乱したかもしれません。でも電子回路の動作を理解するためには、この考え方は是非押させておきたいところです。
そこで、トランジスタのお話はちょっとお休みして「交流抵抗」と「直流抵抗」について考えてみたいと思います。


 抵抗の値って?


まず抵抗というのは素子に加えられる電圧とそのとき流れる電流の比率です。(それをなぜ?って聞いてはいけません。これは定義です。お約束です。)抵抗という素子には10オームとか1Kオームとかいう値が書かれています。この値は、その抵抗に交流電圧をかけようが直流電圧をかけようが関係ありません。10オームは10オームです。それでは、直流抵抗と交流抵抗というのはどういう意味を持っているのでしょうか。

実は、直流と交流で抵抗値が変るのは非線形素子の場合に限るのです。抵抗値は線形素子ですから、両者の区別はありません。この話はまた後でします。ちょっと頭に入れておいてください。

例えばダイオードを考えて見ましょう。ダイオードは非線形素子でしたね。ダイオードにかける電圧と電流の関係は

 I=I0(exp(V/VT)-1)

で表されます。指数関数とかが入っていていかにも”非線形“ですね。なぜそうなるかは忘れてください。そういうものと思うことです。(半導体のバンド理論など聞きたくはないでしょう。いや、私が理解していないという方が正しいのかも知れませんが。)

 


  動作点と直流抵抗


電圧Vをダイオードにかけた時の電流Iは、電圧Vのところにまっすぐ上に伸ばした線とダイオードの特性カーブが交わった点Qから求めることが出来ます。直流電圧Vをかけたとき直流電流Iが流れる点が動作点です。この時、動作点Qと原点を結んだ線の傾きが直流抵抗Rです。簡単ですね。

 

  交流抵抗

この状況下で、電圧をちょっとだけユラユラと変化させたらどうなるでしょう。ここでミソは“ちょっとだけ”というところです。「どのくらいをちょっとだけというのか」という問題は当然あるのですが、そこはまたもやとりあえずおいといて、とにかく“ちょっとだけ”Vを変化させることにします。

ここで知りたいことは、電圧をちょこっと変化したときに電流はどのくらい変化するかという比率です。電圧がちょこっとですから電流もちょこっとしか変化しません。その変化の比率を交流抵抗というのです。

こういうちまちました話は、微分という概念を使うと簡単に記述することができます。交流抵抗rは、単純な電圧と電流の比率ではなく微分になるのです。

r=dV/dI

線形素子というのは文字通り特性が直線ですので微分した値と電圧と電流の単純な比率が一致するのです。だから普通の抵抗器には直流抵抗と交流抵抗が同じになるのです。

話をダイオードに戻しましょう。動作点Qにおける交流抵抗rは

r=1/(dI/dV)

です。ここで電流の式においてVがVT(25mV)より十分大きいと仮定すると、式の中の1は無視でき、微分の結果から

r=1/I0/Vtexp(V/VT)=VT/I

となり、交流抵抗は動作点における電流の値に反比例することになります。例えばI=1mAとすると

r=25mV/1mA=25オーム

となり、小さい値になります。ここでは交流抵抗という言葉を使いましたが、「ちょこっと」した変化に注目するという意味において、こういう分析は「小信号解析」とも呼ばれます。

 


ちょっとくどい説明になりましたが、ご理解いただけましたか?
次回はまたお話をトランジスタに戻します。

 「センサ道場」はこれからもどんどん続きます!ご期待ください!!

  

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