大変お待たせいたしました!センサ道場第6回です。今回は、定電圧源と定電流源についての考察です。
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定電圧源とは
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定電圧源に左図のように回路に0.0001Ωの抵抗をつなげました。
どんなに小さな抵抗であったとしても、必ずこの抵抗の間にはV[V]が出力されます。
実際にはそんな電源を作るのは難しいかもしれませんが、理想的な電圧源ではどんなに小さな抵抗がつながっても電圧は一定に保たれます。
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「そりゃあ、定源電圧なんだからあたりまえだ」という声が聞こえてきそうです。
では、そういう理想的な電圧源の内部抵抗の大きさはいくらと考えればよいのでしょう。下の図のように電源に内部抵抗があるとすると、電源の起電力Vは、電源の内部抵抗と外につながった抵抗によって分圧されることになります。
各抵抗間でそれぞれV1、V2[V]と電圧がかかるとすると、 起電力V[V]は、
V=V1+V2
となります。
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でも、これは話がおかしいことに気がつきませんか。そう、定電圧源にもかかわらず、つなげた抵抗にかかる電圧が抵抗値によって変化してしまうのです。これは矛盾ですね。
唯一、この矛盾を解決する解は、内部抵抗をゼロにするしかありません。
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つまり、理想的な定電圧源の内部抵抗はゼロということになります。
実際の電源回路では内部抵抗をゼロにすることは出来ませんが(まさか超伝導を使うわけにもいきせん!)、例えば出力電圧をモニタしながら電圧を調整するような仕組みで一定電圧が現れるようになっています。そのような電源も、出力電圧が負荷の大きさによらず一定に保たれるという意味においては上で説明したように「内部抵抗がゼロである」と考えてよいのです。
なお、定電圧源をショートさせるのはご法度です!
では次に、定電流源とはどのようなものか考えてみましょう。
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定電流源とは? |
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左図のように定電流源に非常に大きな抵抗をつなげました。
どんなに大きな負荷がかけられていても、定電流源がつなげられているため、この回路には電流I[A]が必ず流れます。
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では、定電圧源のときと同様に、この電流源の内部抵抗の大きさについて考えてみましょう。
下の図のように定電圧源と抵抗R1で定電流源を模擬的に表すことにします。
すると、回路を流れる電流I[A]は、電源の内部抵抗R1と外につなげられた抵抗であるR2、電圧V[V]を使うと、
I=V/(R1+R2)
となるはずです。
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ここで、再び矛盾に気がつきますね。
なぜなら、定電流源にもかかわらず電流の値は負荷抵抗R2により変化してしまうのです。
この矛盾を解決するためには…内部抵抗R1を無限大(∞)にするしかないのです。
抵抗R1が非常に大きいためR1とVのみによりIが決まってしまいます。R2が電流I
に与える影響は非常に小さく、無視することができるのです。
ここで、R1が∞のときには電流I[A]は0になってしまう、と気づいたあなた、スルドイ!
実はここには多少のごまかしがあるのですが、とりあえずここではそのことは置いておきます。
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よって、見かけ上内部抵抗が無限大の抵抗がつながっているこの回路には、常に一定の電流が流れるのです。
また、定電圧源と同じく、実際の回路では内部抵抗を∞にすることは不可能です。出力電流をモニタしながら、電流を一定に保つように調整する必要があります。この場合、出力電流が一定に保たれるという意味において、「内部抵抗が∞である」と考えてよいのですね。
なお、定電流源を開放にするのはルール違反です!必ず閉回路にしておかなければなりません。
定電圧源、定電流源って、当たり前すぎて簡単なようでいて、慣れない人にはなかなか分りにくい論理ですね。
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「センサ道場」はこれからもどんどん続きます!ご期待ください!!
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